開運と暦〜一粒万倍日はなぜ人気?〜

明治時代、さまざな暦注が迷信として失われ、逆に全く根拠がない六曜の方が長年重視されてきたわけですが、ここ最近、一粒万倍日に注目が集まるなど、「古くからの暦注が見直されて」きています。

【近年になって復活した一粒万倍日】

最近、「一粒万倍日」という吉日が広く知られるようになってきました。
宝くじ売り場などでも、売り文句として表示する場所がでるようになっており、かなり一般的な用語となっているようです。

しかしながら、実は、こちらの吉日は「一時期暦から消えていた」ということをご存じでしょうか?

一粒万倍日は宣明暦の時代から採用されていたもの。宣明暦は日本では「西暦862年に採用されて以来、1685年までの、なんと823年間も使用されたもの」であり、日本史上最も長く採用された暦として知られています。

宣明暦が使われていた時代、暦を作成するのは陰陽師で有名な「陰陽寮」であり、基本的には朝廷が管理していたのですが、朝廷の力が弱まると共に、民間でも暦を作るようになり、戦国時代に陰陽寮が資料をほぼ失ったことで、徐々に混乱が生じたことで改暦が行われたのです。

 

【歴史の古い吉日と、新しい吉日】

改暦が行われたことや、明治時代に暦注が禁止されたことによって、一粒万倍日は一時期暦に記載されなくなっていたのですが、現代になってから再度注目を集めたというのは、やはり「800年以上にわたって採用されていた宣明暦には、それなりの意味があった」ということなのでしょう。

ちなみに、一粒万倍日とは反対に歴史がとても浅いにもかかわらず、最近まで重要視されていた暦注として「六曜」があります。こちらは、「仏滅や大安」といったもので、カレンダーに記載されていることも多く、結婚式やお葬式などでは今でも重視する人がいます。宝くじ売り場でも、「大安吉日」という表示が以前は良くされていました。

しかしながら、六曜は前述したように暦に混乱が生じた江戸時代末期に、民間で勝手に使われるようになったものであり、明治に入って暦注が禁止された時に急速に広がったものなのです。古い時代の暦注は、暦を陰陽寮が管理していたことからもわかるように、「十干十二支を元に五行相克や相生、さらにそれら干支の神々などを元に吉凶が設定されている」ものですが、六曜は旧暦の月と日の合計を6で割ったときの余りで決まるという、とてもシンプルなものであり、「その理論はハッキリしていません」。

そのために、暦を研究する人間や、東洋の占術を専門に行う人間からすると、「単なる迷信に過ぎない」のです。ですので、一粒万倍日と六曜の仏滅などが重なった場合、「六曜を考慮する必要はありません」。

 

【吉日と凶日重なった場合はどちらを選ぶ?】

一粒万倍日は、比較的頻繁にありますので、他の暦注の吉日や凶日と重なることがあります。年に4回しか存在していない大吉日である「天赦日」と重なると、「最大吉日」といわれるのは、とても珍しい現象であるためなのです。こちらは、珍しいことですので重視するのも当然ですが、他にも色々な暦注と重なることが多いわけですので、そういった場合、どの「暦注を重視すると良いのか」を紹介しましょう。