神々の履歴書第8回―神様に相性はあるのか? 中  出雲大社と大神神社—封印された大王・大国主

大和朝廷の神々に見張られている大国主

この古墳のような竪穴で、餓死した身分の高い男性が、大国主と呼ばれて祀られている方のように思います。

ビジョンの中の彼は、温厚そうな人物で、つよい恨みは感じませんでした。
ただ、空腹感だけが、伝わってきます。

「永遠の命をえて、神になる」——出雲の民も、そして彼自身もこの言葉を信じていたようです。これは処刑ではなく「神となる儀式」そういう認識でした。

それが、恨みを引き起こさなかった理由なのではないでしょうか。

そして、60年後の復活を見守るように、彼は小高い丘の上に埋葬されました。
いや、埋葬というより、死に場所がそのまま墓所となったのです。

出雲大社は、冥界(地下の世界)を模して作られているので、鳥居から神殿までは下り坂になっていますが、ビジョンに出てきたのは小高い丘です。
おそらくは、その後何らかの理由で、彼の魂は今の場所に移されたのでしょう。

彼の魂は今も神殿に幽閉されています。
多くの神官にかしずかれながら……
アストラル体(幽体)となった王は、神殿の奥深くに座しているのです。

彼は、出雲大社の本殿にいるようです。
本殿の周りには、ぐるりと多くの大和朝廷の神々が立っています。
逃げないように見張っているのでしょうか。

本殿の西側に、3人誰か立っています。
西は冥界の入り口なので、彼が冥界(死者の国)に行ってしまわないように、いつまでもこの世にとどまるように、見張っているのかもしれません。

そういう意味で、確かに「永遠の命を手に入れた」というべきでしょうか。
託宣通り、「永遠の命をえて、神になった」のです。

 

祟ってから祀った大神神社、祟る前から先手をうって祀った出雲大社

戦いには必ず、勝つもの、負けるもの、滅ぼすもの、滅びるものがあります。
戦がある限り、祟りをさけることはできません。

古代人にとって、祟りは死活問題です。
それは、疫病や天変地異を巻き起こし、時には為政者の命さえ奪う恐ろしいものでした。
でもだからといって、征服を止めるわけにはいきません。
つまり、征服する際にどうやって祟りを最小限に食い止めるかは、古代人にとって、重要な案件だったのです。

大神では、「こんなことしたら祟るんでは!?」と、恐れつつ処刑したところ、案の定、祟って、あわてて祟りを鎮めるために祀りました。

出雲では、祟る前から……この出雲の大王が、先々朝廷に災いをもたらす大魔神とならないように、大和朝廷が、細心の注意を払って処刑したようにみえます。

大国主は、徹底抗戦ではなく降伏したので、穏便な処遇となった?
出雲の国が大国で、その王だったので、格別の処遇を施した?
大国主は、人望の厚い王だったので、民の心が離反しないように気を使った?

それもあるかもしれません。

ただ「永遠の神になる儀式」は、かならずしも死刑の方便ではなく、「何かそういう秘儀があって、それなりに真面目に実行にされた」ようにも感じました。

その光景は、処刑というより、まるで鳥海山の即身仏(ミイラ)の土中入定(どちゅうにゅうじょう)のようでした。
出羽三山では、即身成仏を志す僧侶は、自ら志して生きたまま土中に入場して餓死します。
そして、3年後に掘りだされて、寺院に生き仏として祀られるのです。

もしかしたら、古代から綿々と続く、宗教的伝統が東北や富士に伝わって、即身仏となったのかもしれません。
その綿々たる伝統とは、いったいどこからやってきたのでしょうか?

神様に相性はあるのか下—日本で祀られた古代エジプトの神につづく

マユリ

 

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