『サルでもわかるハリィー先生のアヴァンギャルドな東洋医学講座』第五話~オキシトシンはスピリチュアルなホルモン?~

ヒトの鼻にオキシトシンを噴霧すると、そのオキシトシンを噴霧されたヒトの情動が安定して不安感が消失するという驚愕のデータも出て来ている

 

「うん、あのね、今から110年前の1906年にオキシトシンが最初に発見された場所が脳下垂体だったから、脳下垂体という器官だけで産生されるホルモンとして、ずっとこれまでは思われていたようだね。
でもそれ以外の器官でもオキシトシンが産生されていることが近年になって分かってきた。例えば女性の卵巣や男性の睾丸や、心臓や、血管壁などでオキシトシンは産生されているの。でね、自分が一番注目しているのが皮膚で作られるオキシトシンの効能なの」

「へぇ~、卵巣に睾丸か。うん、このへんは種の繁栄、種の存続に関わる部位よね。それから心臓と血管壁か、ふむふむ、ここは血液循環と関係するから、これは生死に関わる部位かしらね。そして皮膚? 皮膚は身体の外周をまとう防御壁だから……? う~ん、なぜ皮膚でオキシトシンが産生されてるのかしら? ここはやっぱり皮膚を触る事を職業としているハリィー先生にひとつみっちりと解説をねがいたいわね」

「あいよっ! 待ってましたの、ハリ・アヴァ屋の登場です(笑)で、皮膚とオキシトシンに関しては長くなるので、次回に回すとして、今、トリ子さんはなにげに、非常に重大な指摘をしたんです。そうなんです。オキシトシンの作用は種の繁栄と存続に欠かせない実に重大な役目をもったホルモン&情報伝達物質なんですね。
このオキシトシンという9つのアミノ酸がつながった小さなタンパク分子の構造体はタンパク質で出来ていることからペプチドホルモンと呼ばれるけど、哺乳類の全種が保有し、同じようなホルモンは鳥類や爬虫類にも見られるそうだよ。
つまりこうした爬虫類、鳥類、哺乳類という進化の後発種が生き延びるために、長年ずっと体内に残存し保有された貴重なホルモンがオキシトシンと言えるんだね」

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「爬虫類がこの地球に誕生したのは、たしか3億年くらい前かしら?」

「うん、地球が恐竜の闊歩するジュラシック・パークだったのは、中生代の三畳紀の2億5220万年前から白亜紀末の6600万年前までの約2億年間だね。あのティラノサウルスやトリケラトプスの体内でもオキシトシンと同様のペプチドホルモンが彼ら恐竜の傷を癒し、認知機能を高め、繁殖や営巣へと導いていたんだろうね。
そんな恐竜の足もとでは、モルガヌコドンと呼ばれる小さなネズミのような原始哺乳類が、したたかにたくましく、やはりオキシトシンの導きで子作りに励んでいた。このモルガヌコドンという小さな哺乳類は、わたしたち人間の祖先と言われてるよ」

「ふぅ~ん、なんだか時空を越える壮大な旅になってきたわねぇ(笑)でも、なんだろう、今ふと気がついたんだけど、恐竜ってけっこう社会的な面があるというか、群れたり、巣を作ったり、集団で子育てをしていたなんて聞くし、哺乳類はだいたい社会性があって、集団で行動する。こういう群れたり、集団行動をしたりする社会性とオキシトシンは何か相関があるのかしら?」

「トリ子さん、いいところを突いてきたね。そうなんだよ。オキシトシンはその社会性というキーワードと密接につながったホルモンなんだね。オキシトシンの二大作用は①『生長と治癒』と、②『社交的能力』とされる。
この②の社交的能力がすなわち社会性というわけだね。爬虫類や鳥類や哺乳類がつがいになり、夫婦になり、子供を作り、育てる。この夫婦というユニットが拡大すると種になるんだけど、つまり夫婦和合が種の和合へと拡大されることで、種が存続できるわけ。オキシトシンはだから夫婦の和合から種の繁栄存続に至るまでそのすべてのプロセスをエスコートしサポートする『養生ホルモン』と言えるんだ」

「おーっ! なんとなんと、オキシトシンは『養生ホルモン』だって! こんな表現はハリィー先生しかできないよ! よっ、さすがはアヴァンギャルド鍼灸指圧師!」

「ダハハ。お褒めにあずかり光栄です。うん、でもオキシトシンの呼び名には『養生ホルモン』は、けっこうピッタリだと思うよ。いまだに戦争や環境汚染から卒業できないでその辛苦にあえいでいる現生人類を、より霊性の高いスピリチュアルな存在へと導くホルモンこそが『養生ホルモン・オキシトシン』だ、とビーボイス・ハリィーは声を大にして唱えたいね!」

「な、な、なんと、人類進化の鍵すら握っているのがオキシトシンというホルモンなのね。なんでもヒトの鼻にオキシトシンを噴霧すると、そのオキシトシンを噴霧されたヒトの情動が安定して不安感が消失するという驚愕のデータも出て来ているというじゃない。
それじゃあ、世界中の空気がオキシトシンを含むようになれば、世界中のみんなの不安感が消えて、みんなが愛情に満たされて、争いや戦争も無くなっちゃうかもしれないわよね」

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「うわっ、それ、ノーベル賞100個級の凄いアイデアだよ、トリ子さん!  でも、空気中に放出されたオキシトシンはすぐに分解されてしまうか、風に飛ばされてしまうから、漫画の世界なら可能かもね(笑)でも、空気中ではなく、人々の体内にオキシトシンをシャワーのように分泌させることなら、簡単で、即座に可能だよ」

「あっ、そうか! 鍼灸指圧だ! もしかして鍼灸指圧は人類をスピリチュアルな存在に引き上げる救世主の医療? えっ、ほんと? 先生、凄すぎ!」

「ダハハ、いまごろ、わかったの? そうハリィーのビービーな快進撃はまだ始まったばかり(笑)次回は皮膚とオキシトシンにフォーカスします」

「いよいよ、ハリィーケーン旋風の到来ね、あら、ちょっと、滑ったかしら(笑)」

 

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