厚生労働省の1日30品目の指針VS日本伝統の食事、どちらがお勧め? その2

こんにちは。よいぼしのなぎうたのkinaです。
当時の厚生省、現在の厚生労働省(厚労省)が「1日30品目の食品を摂りましょう」という指針を出してから久しいですが、あれを実現するのは難しいし、日本古来の粗食の方が良いよ、というのが前回のお話でした。

そんな厚労省の指針に対して、日本伝統の食生活から異を唱えている方もいらっしゃいます。

今回は、文化と実践から日本古来の食事についてのあれこれです。

 

人気の料理研究家が語る、文化としての一汁一菜とちらし寿司がごちそうだった理由

前回ご紹介した幕内秀夫さんの「粗食のすすめ」は非常に参考になりましたが、料亭で出て来る和食って、とっても豪華で、何となく疑問が残っていたkina。

個人的に、赤飯やちらし寿司のような甘いご飯が好きではなく、縁起物だった赤飯はまだ作る理由がわかっていたので何も言いませんが、季節の折々で作るちらし寿司は結構苦痛でした。
見ていても色んな具材をそれぞれ味付けする母親を見て「何て面倒くさい」といつも思っていましたし^_^;

幕内さんの提言以後、粗食について提案をした方は多いのですが、そんな中でもひときわ大きな反響を呼んだのが料理研究家の土井善晴さん。

昔の人なら「土井勝さんのお子さん」と言うとわかりやすかったのですが、今ではお父さんのネームバリュー抜きで有名になりましたね。
土井善晴さんは「一汁一菜で良いという提案」という本を上梓し、その中でご飯と具沢山の味噌汁と漬物という食事を提案し、さらに日本が如何に栄養だけではなく文化として一汁一菜を取り入れてきたかということを取り上げています。
土井善晴さんの本を読んで、やっと日本のケとハレのこと、それから季節の折々に母親がちらし寿司を作っていた意義を理解したように思います。

確かに昨日はハンバーグ、今日はローストチキン、明日は餃子……というメニューでちらし寿司だったら「大変だ」「手間がかかるだけ」と思いますが、毎日ご飯と味噌汁と漬物ばかりなら、時には豪華な料理を作りたくなるものです。

当時は食材も限られていたし、日本では肉食が禁止されていたのでちらし寿司が「身近な食材で作れる豪華な料理」だったというわけですね。
kinaの地方のちらし寿司の具材をよくよく見てみたら、人参、干し椎茸、でんぶ、カンピョウ、卵……と、卵以外は全部保存が効く食材なんですよ。

日本の食生活と文化について興味がある方は、土井善晴さんの「一汁一菜で良いという提案」を読んでみると楽しいかと思います。
なお、土井善晴さんは粗食について語っていますが、「土井家の一生もんの晩ごはん」という本を立ち読みしたら……写真で見るだけでも「絶対これ美味しいでしょ」と言いたくなるような料理が並んでいました。

粗食について語っても普通の料理本も評価される、これが土井善晴さんの強みなんでしょうね。

 

それでも厚労省の指針に添いたい方にお勧めしたい、意識をしっかり持って読むべき料理本(←著者の発言です)

「日本古来の粗食ではなく、厚労省の指針に沿った食事をしたい。でも料理は面倒だし費用は抑えたい」という方に是非読んでほしいのが「台所リストラ術」を始めとする魚柄仁之助さんの本です。

魚柄仁之助さんは九州の料亭の次男坊で、ミュージシャンとしての肩書を持ちつつ、如何に手を抜いて、健康的で旨い料理を食べるかということに心血を注ぐ御方です。

彼の調理法を実践したら、厚生労働省の1日30品目を摂取するという指針を守りつつ1回の調理時間はほぼ30分以内、食費をひとり1ヶ月10,000円以下で抑えられるのですが……如何せんご本人も認めるほど料理方法が変

ご飯に雑穀を混ぜるのは当たり前、ご飯を炊く時にお鍋や炊飯器の上にざるを上げてそこに野菜を入れて蒸したり卵を茹でる、納豆に卵とオクラととワカメといった生で食べれて粘るものを混ぜてかさ増しする、というのは序の口で、パンの耳を粉にしてそれでまたもパンを焼く、大豆からチーズとヨーグルトを作る……と、著者ご本人すら言っている通り、普通の人ならそのやり方を読んでいるだけで意識が遠のくかもしれません^_^;

それでも厚労省の指針を守りつつ、手間と費用をかけずに料理を作りたい方には魚柄仁之助さんの本は非常に役に立つことでしょう……ご家族に心配されたり泣かれたりする可能性に関して、kinaは責任を持てませんが。

 

参考文献 一汁一菜で良いという提案 土井善晴
台所リストラ術 魚柄仁之助

 

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