こんにちは。生き物大好きな占い師&理科教員&気象予報士&物書きの金子大輔です。
皆さまは、人の顔を覚えるのは得意ですか?
いきなりのカミングアウトですが、私は顔を覚えられません、というか顔の区別がつきません。
顔が区別できない現象は「相貌失認」と呼ばれ、先天的なものは100人に1人程度と言われています。
日本人だけでも100万人以上いる計算になりますから、けっして少なくはないでしょう。
ここを読んでくださっている方の中にもいらっしゃるかもしれません。
『不思議の国のアリス』の作者で数学者でもあるルイス・キャロルも、相貌失認に苦しんでいたそうです。
●顔がわからないから、声、体格、服装、髪型で区別
人の顔が区別できないのは、思いのほか不便です。
職場や学校で話しかけられても、誰に話しかけられているのかわかりにくい、顔が同じに見えてしまうためドラマや映画を見ていても、ストーリーがわからなくなることがしばしばです。
救いとなるのは、現実世界では顔の他に声、体格、服装、髪型などの情報があるので、顔以外の情報から、目の前にいるのは誰か区別可能なことです。
それでも非相貌失認の人が顔を見てパッと人を見分けるのに比べれば、はるかに時間はかかってしまいます。
●まだまだ認知度が低い相貌失認
私はこれまで相貌失認を積極的にはカミングアウトしてきませんでした。
少なくとも日本では、人の顔を覚えないのは失礼とされます。
顔を覚えているフリを必死でしてきたものでした。
こんな現実がありますから、実際には相貌失認は100人に1人より多くいるのではないかと推定できます。
まだまだ認知度が低い症状であるため、誰にも相談できず、理解してもらうこともできずに悩んでいる方は多いと思います。
原因は先天的な脳の特性(後天的な脳の怪我や病気で出現する例もあります)であるため、努力で補うこともできません。
この現象を少しでも多くの方に知ってもらいたく、ここで書くことを決意しました。
●相貌失認の特徴
相貌失認の特徴として面白い点は、男女の顔の違いまではわかる(こともある)ということ、美人と不美人の違いもわかること、「好みの顔」というものも存在することです。
「なんだ、顔が区別できているんじゃないか」と思われそうですが、「和久田麻由子アナウンサーと森三中の黒沢かずこさんて似ているね」などのトンデモ発言が目立ったりします。
また、ドラえもんのスネ夫とジャイアンは区別できます。
アニメでは、顔の輪郭や体格が極度にデフォルメされているからでしょう。
●どうか相貌失認の人にも温かい目で
おそらく、相貌失認の人が他の人を見ている感じは、一般の方がカラスやアリを見ているような感覚ではないでしょうか。
どうでしょう、カラスを一羽一羽区別するのが難しいですよね。
区別するとすれば、大きさや声、性格などに頼らざるを得ません。
もし「目が合ったのに挨拶しない」とか、「町で会ったのに無視された」と思った時にちょっとこの記事を思い出してみてください。
さらに「こんにちは」と挨拶した後、少しの間考え込むしぐさをする人がいたときにも……。
お相手はひょっとすると相貌失認かもしれません。
悪気はないので、温かく見守ってあげるとよいでしょう。
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