【ホピ族を滅びから救ったカチナ】
カチナとは、日本語でいえば「精霊」といったような意味合いとなります。元々は姿を持たない自然界にあった力が、ホピ族が干ばつによって「滅亡の危機に瀕した」ために、彼らを救うために、「人間の姿となって現れたもの」なのです。
彼らはホピ族をその力によって滅亡から救ったのですが、いつしかホピ族がカチナに依存し、堕落がはじまったことで、彼らの元を離れて、自らの住処である神聖な山へと帰ってしまいました。
そのために、ホピ族の人々は、彼らの力を借りるために、その姿をまねた「仮面や衣装を作って」、彼らが山から戻ってくるという冬至から夏至までの期間には、様々な儀式を行うようになりました。
カチナは「400種類以上」といわれており、正確な数はわかっていませんが、さまざまな役割を持っています。
【カチナの力が宿った人形】
たとえば「チーフカチナ」は、名前通りリーダー的な存在であり、もっとも霊的に高いとされています。「ガードカチナ」は守備、「ハンターカチナ」は戦士、「ダンサーカチナ」は儀式の際に踊るといったようなものですが、それらのカテゴリ内でもいくつもの種類があり、それぞれに、きちんと名前が個性が表現されています。
儀式でカチナの姿をして踊ることで、その人には自然と「カチナのスピリチュアルなパワーが宿る」と考えられていました。そうした「パワーを封じ込めるアイテムとして、自らが演じたものと同じ姿のカチナ人形」を作ったのです。この人形には強い力があり、自分の大切な人、すなわち恋人や、家族、子供などに贈ったといわれています。
【芸術品となったカチナ人形】
このような伝統や、カチナの役割を子供に教えるために人形が使われていたということもあり、いつしかカチナを模した人形は、「カチナドール」としてホピ族の重要な収入源となりました。
その姿が非常に魅力的なこともあり、中にはその「芸術性が認められて美術品として取引されるもの」まで登場しました。その結果、ホピ族の多くがカチナドールを作るようになっただけでなく、他のネイティブ・アメリカンも真似をしてカチナドールを作るようになったほどです。
基本的に「ホピ族が作るものが本物」とされていますが、スピリチュアルな観点からすれば、本当に本物といえるのは、きちんと自らがカチナの姿に扮して儀式に参加した人が、そのエネルギーを元に作ったものだけといえるわけですが、それらは前述したように赤の他人が手に入れることは難しいかもしれません。
どこか、日本の文化と近いものを感じさせてくれるホピ族のカチナ。すでに世界的なパワースポットとして有名になった「セドナ」を訪れた際には、ぜひ、ホピ族の居留地まで足を運んで、そのかわいらしいデザインと、そこにこめられたエネルギーを感じてみて下さい。
Eight million gods and loose character.
Kachina dolls and Japanese culture.