恐れは悪? 今こそ心の陰陽を統合させ、幸せの成長へと向かう時。

恐れを認め、受け入れることは、魂を正常に成長させる勇気の行動に繋がります。

「恐れを手放しましょう……!」

現代の日本のスピリチュアル世界で、幸せになるために必要だとされている、このメッセージ。
幸せに向かう道を阻む陰の感情・思いである恐れを、私たち人類は『悪』として、長い間排除しようと努めてきました。

なのに誰の心の中にも、未だ恐れは存在しています。

どれだけ排除しようと努めても、一旦は排除されたと思っても、また復活する恐れ。
これほどまでに恐れが人の心に巣食うのには、実は理由があります。
今回のコラムでは、本当は『悪』ではない恐れの真実と、その扱い方をお伝えいたします。

 

恐れはあなたを守る大切なお守り

目を閉じて、イメージしてみてください。

1m幅の道が真っ直ぐに、ずっと向こうまで続いています。
その道の両脇にはクローバーやタンポポが咲いていて、ヒラヒラと蝶が舞っています。
あなたはこの道を歩いて行く時、何か恐れを感じますか?
そう、感じませんよね。
恐れどころか、なんだか楽しい気分にもなって、スキップまで踏めるかもしれません。

真っ直ぐに続く1m幅の道や、道の両脇にある風景は、あなたの視界でしっかりと確認できます。
またスキップを踏んで道を踏み外したとしても、あなたの身の安全は守られていることもわかっています。
安心・安全が保障されているとわかると、人間の脳は『快』のスイッチを入れるのですね。

ではリセットして。
今度はこんなイメージをしてみてください。

あなたは今、片側が岩肌の壁、もう一方の片側が崖になっている1m幅の道を進もうとしています。
道はウネウネと曲がりくねっていて、岩肌が邪魔をして先がどんな風になっているかわかりません。
片側の崖から下を覗き込むと、地上が見えないほど深い谷が広がっています。
さあ、恐れのスイッチが発動しました。

「もしも、足を踏み外したら」
「もしも、道の岩場が崩れたら」
「もしも、上から大きな石が落ちてきたら」
「もしも、道が途中で途切れていたら」

先ほどと同じ1m幅の道なのに、見えない先にあなたの身の安全が守られないと判断した脳は、起きてもいない悪い未来を想像し始めます。
ですがこの想像は、命を守って生きようとする人間に備わった、ホメオスタシス反応。
いわゆる危険を回避しようとする自然な恐れの反応です。
もし無理に手放したら、赤ちゃんのように危険を察知することもできず、危険から回避することもできなくなってしまいます。
なので恐れは『悪』ではなく、あなたを守る大切なお守りのようなものだと、まずは認めてあげてください。

 

魂の正常な成長に、恐れは必要な栄養分

恐れは脳のしくみから見ると、大切なお守りですから認めてあげてくださいと、お伝えしました。
なのに、成長してレベルを上げたい魂からは一見厄介者にされがちです。
また、愛や調和を主体とする多くのスピリチュアル業界からも、恐れはいらないものとされています。

なぜ、この矛盾が起きてしまうのでしょうか。

それは、代々親から受け継いできた、人間の間違った価値観が作り上げた産物だと、筆者は思います。プラス、神様が創られた宇宙の真理を忘れたからなのだと。