崇高なイタリアのスローフード 〜前編〜

「ビジネスはテーブルの上で行われる」とイタリア人はよく言いますが、それほど食事の場を大切にする民族なのです。

みなさんは、イタリアと聞いて思い浮かべるものは何ですか?

ピザ、ワイン、スパゲッティ? それとも時が止まったようなスローな生活のリズムでしょうか?

イタリアの商店や会社の昼休憩はとても長く、日曜日はもちろん休業。そして月曜日の午前中もお休みします。日本のように隣り合わせに建つコンビニエンス・ストアは何処にも見当たりません。夏になると、大抵の人はバカンスに出かけるので街中はひっそりとしています。日本の生活に慣れていると、「この人達働く気が全くないんじゃないか?」と思えるかもしれません。イタリアは全くコンビニエンス(便利)な国ではないのです。

そんなペースに嫌気がさして、新しいチャンスを求めるべく国を離れる人も多いけれど、少し不便なスローさがイタリアの魅力であり、日本のように便利になりすぎてしまった国が失ってしまったものを沢山持っているとも言えます。

最近では大型スーパーもよく見られるようになりましたが、まだまだ昔ながらの小売店が多く、午前中のピアッツア(広場)は、地元の旬の野菜や果物を売る市場で賑わっています。商品は包装されておらず全て量り売りです。

日本のスーパーの場合、商品は全て綺麗に包装され、値段タグも丁寧に付けられていますから、スーパーに入ってから出るまでの間、誰とも口を利かないでいることもできます。しかしイタリアの市場ではそうはいきません。新しい野菜を見つけた時は、調理方法を店主に聞いたりして、たわいもないおしゃべりを楽しみながら買い物をします。

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(写真上 : ローマ市内の市場の様子)

イタリア人はとても社交的で、家に招待して手料理を振舞うのがとても好きです。こうしてテーブルを挟み、食事を楽しみながら親睦を深めるのです。

「ビジネスはテーブルの上で行われる」とイタリア人はよく言いますが、それほど食事の場を大切にする民族なのです。

1980年半ばには、ローマの観光名所「スペイン広場」にマクドナルドが建設され、ファーストフードにイタリアの食文化が食いつぶされるという危機感から、その土地の伝統的な食文化や食材を見直す運動、「スローフード」が始まりました。

驚くことに、97年の時点で日本のマクドナルドの店舗数は4千件を超え、本家のアメリカに次いで世界中で第2位。イタリアとそう国土は変わらない島国にして、第3位のカナダを遥かにうわまっていたのです。

そして、日本に押し寄せたファースト・フード及び、ファースト・ライフの大波は、会話のない親子関係、鬱病や過労死の増加、地球環境の悪化、日本中どこでも似通っていく駅前の風景、殺伐としてきた地元の街並みを蔓延させたのです。

便利さと引き換えに日本が失ってしまったものを、まずは誰にも身近な食を通じて変えていけるのではないかなと、日々のイタリア生活の中で感じています。

後半へ続く……

(トップ写真 : サグラは地元料理が安く提供される夏の模様し)

 

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