神の使いにつかまると3年後に死ぬ!?ちょっと怖いお祭り

護法実に選ばれるためには、「日頃からまじめに暮らしていて、温厚で信仰に厚い人」である必要があるとされており、選ばれたさいには、祭の3日前から寺にこもって水垢離などの精進潔斎をしなければならないという、なかなかハードな条件が課されています。

【岡山県で行われる奇妙なお祭り】

夏はお祭りの季節。
日本全国で、さまざまなお祭りが開催されています。特にお盆時期には、盆踊りなどが行われる場所も多いのですが、そんな時期に、岡山県で「他にほとんど類を見ない奇妙なお祭り」が行われます。

一般的なお祭りは、神様に感謝を捧げて、豊作などを祈るというものが多いのですが、こちらのお祭りの起源は「験競べ」が元になっているといわれています。修験者が修行によって得る、神秘的な力のことを「験力」と呼びます。
つまり、修験者同士が、自らの修行の成果を競っていたわけです。

 

【神様の使いを操る】

具体的にどうやって成果を競うのかというと、神様の使いを「憑坐(よりまし)」となる人に降ろして、「どれだけうまく使いを憑依させられるか、さらにどれだけ自由に操ることができるか」を比べたといわれています。

この時に呼び出される神の使いが「護法」と呼ばれていることから、このお祭りは「護法祭り」と呼ばれています。「護法」というのは、仏教や修験道などで登場する概念であり、仏法などを守る存在のこと。
「護法童子」などは、テレビや漫画などでお馴染みの陰陽師の「式神」的なものといえます。

護法祭りの場合は、仏教を守護し、土地を守ってくれる「護法善神」の使いである「烏」が護法となって、憑坐である「護法実(ごほうざね)」に憑依するといわれています。
護法が取り憑いた護法実は、神様の使いと同一視されることから、「ごほうさま」がなまった「ゴーサマ」と呼ばれて敬われています。

護法実に選ばれるためには、「日頃からまじめに暮らしていて、温厚で信仰に厚い人」である必要があるとされており、選ばれたさいには、祭の3日前から寺にこもって水垢離などの精進潔斎をしなければならないという、なかなかハードな条件が課されています。

 

【ゴーサマに捕まると3年以内に死ぬ】

そんなゴーサマですが、地元の人から大変恐れられています。なぜなら、護法祭りでゴーサマに捕まった人は「3年以内に死ぬ」という言い伝えがあるからなのです。
お祭りでは、護法を憑依させたゴーサマが暗闇の中を走り回ります。これを「お遊び」と呼ぶのですが、烏が憑依したゴーサマは、本当に羽ばたくようにして、境内をかなり長い間走り回ります。

基本的には、このお遊びのときに、ゴーサマに悪口をいったり、邪魔したりしない限りは、捕まえられることはないとされていますが、それでも、なにかの拍子に捕まってしまう人がおり、そういった場合は、「お祭りの後に祈祷を受けた上で、3年間、注意深く過ごす必要がある」のだそうです。

 

【呪術的なお祭りをみたい方は今がチャンス!】

お祭りというより、非常に呪術的な要素が含まれた「護法祭り」。
今年も8月14日(金)に岡山県の両山寺にて開催されますので、ちょっと怖いながらも、日本では珍しい呪術的な色合いが濃い、この奇祭を見たい方は、勇気を出して訪れてみるのはいかがでしょう?

 

【今回紹介したスポット一覧】
両山寺
岡山県久米郡美咲町両山寺454

 

Magical ancient festival.
Get caught and die within three years!

 

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