苦からの解放/ブッダに学ぶ「正命」~梵字画家と歩く仏教小径 その2

王宮の何不自由ない暮らしも、ブッダにとっては「自分の命」=「真実の願い」に従い生きることにはかなわなかった。

【裏腹マインドに気づこう】

私たちはまったく無自覚に、真実の願いとは真逆なことを思い描きながら生きています。

結婚したい!
仕事で成功したい!
楽な暮らしがしたい!
多くの人のためになる人間でありたい!
健康でありたい!

そうした願いとは裏腹に、潜在意識の奥底に沈められた痛みたちが、「自分をしあわせにしないために、苦しみ続ける」という選択をしています。

結婚してしあわせになってしまうと、自分の親への復讐が果たせない。
楽な暮らしをしてしあわせになってしまうと、パートナーへの恨みを抱き続けられない。

恨んだり妬んだり復讐したいと願ったり。うっかりなこの潜在意識の罠から解き放たれたい!!! 無明はもういやだーーーー!!!

そんなあなたにブッダのひと言。

「真実の望みを思い描き願うために、八正道を、正見にもとづき実践していきなさい」

 

【ブッダの正命】

正しく自分の命を生きるということは、自分の真実の望みに気づき、それに従い生きるということです。
自分の魂が本当に望んでいることは何か。
それを知るために、正見の実践があり、正定の実践があるのです。

ブッダは釈迦(シャカ)族の国、カピラバストゥの王子として生まれました。
彼が生まれた時に、父王はバラモンたちから予言をされます。

「この王子はこのまま宮殿にいればこの世を治めるすごい王様になり、出家すれば仏(ブッダ)となるでしょう」と。
「必ず家を出て、この世の人びとを迷いから救う仏となる」という予言もあったそうです。
そして「老人、病人、死人、出家者を見て出家する」と言われた父王は、息子の出家を阻止するために、老人と病人と死人と出家者を、ことごとく王宮から排除したそうです。

しかし、父王がどんなにその情報を排除しようとも、ブッダは結局、予言通りに出家をしてブッダとなりました。
王宮の何不自由ない暮らしも、ブッダにとっては「自分の命」=「真実の願い」に従い生きることにはかなわなかった。

ありのままの自分で生きるという選択をすることが、正しい命を生きることの第一歩であるということを、ブッダは自身の人生を通して私たちに示してくれているのです。

 

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