一宮千桃のセンスアップ☆シネマレビューPART.308「ブルーロック」

ブルーロック

世界一のストライカーになるために
手に汗握るサバイバルサッカー青春譚!!

先日のワールドカップで日本は決勝トーナメントで敗れて16強入りもかなわなかった。
森保監督の続投と力量を疑問視する記事も読んだが、なかなか日本が優勝することなんて
今のままでは難しいと誰もが思っているような気がする。

武術家でゆる体操の提唱者の高岡英夫氏の著書によると、日本人の体はサッカーやテニスには向かないそうで世界で覇者になれることはないと記されていた。

西洋のスポーツは日本人にはどうやっても難しいのだろう。バレエも、バレーも。また、思うに日本人はメンタルも世界と比べて弱いんだろうな、とオリンピックを見る度に思っていた。
そこへ、この映画である。実にタイムリー。
いやーっこれは日本サッカー界にない、思想が提示されている稀有な映画である。

漫画が原作だが、今の日本のサッカー界の弱点をついていて小気味いい。興奮のサバイバル
試合も血沸き肉踊るが、それだけではなく本作は自己啓発の作品とも言えるところが素晴らしい。
実生活にも活かされるエピソードがつづられているのだ。これは面白くないわけない!

  

自己を知り、覚醒し、成長する
エゴイストの真の意味は?

主人公、潔世一はサッカーの試合でボールを自分でゴールしたかったのに、チームプレーだからと、
仲間にパスしてしまう。その仲間がシュートを失敗。試合に負けてしまう。世一はなぜパスせず自分でシュートしなかったのか深く後悔する。

そんな世一の元に一通の手紙が。

それは日本をワールドカップ優勝に導くための秘策、革命的なストライカーを育成する強力な合宿への招待だった。行ってみるとそこには300人の高校生FWが集められ、たった一人だけが勝ち上がり選ばれるという。このストライカーを選ぶサバイバルマッチは、合宿どころか実は監獄(ブルーロック)という施設で・・・。

「日本サッカーに足りないのは、エゴだ」という指導者、絵心甚八の非情な導きで世一他、個性溢れる選手たちがチームになり壮絶な戦いを展開する!

たしかに。絵心の言うエゴは日本選手には足りないと思う。遠慮とか、横並びとか、でしゃばらないとか、日本人の美徳がスポーツでは邪魔になる。でも、それじゃ駄目なんだ。と教えてくれる。でも、それだけでも駄目なんだ、と映画は展開していく。

そこがいいのだ。結局サッカーはチームプレーなんだから。バラバラでは勝利しないのだ。
真のエゴイストとは何か? 自己を知り、自我を覚醒させ、開放させる。それがどういうことなのか、ここに答えはある。

 

個性豊かな若手新人たちの活躍
若いエネルギーに満ちた快作!

出演者のほとんどがサッカー未経験者で、世一役の高橋文哉も一年半サッカーの特訓を重ねたそうだ。他の未経験者も同様に特訓したそう。それだけあってサッカーシーンは、もちろんCGも使っているが大迫力で手に汗握るし、固唾を呑んでしまった。中でも3歳からサッカーをやっていたという蜂楽廻役の櫻井海音は一番上手かったし、演技も特筆の出来。キャラ的にも一番目立っていい役だった。高橋文哉を食ってたかも。誰これ?と注目してしまった。

高橋はやっぱ未経験てのはわかりました・・・。でも、演技力でカバー。すごくがんばってた。他のキャラクターも個性豊かで漫画ノリのヘアメイクは・・・だけど気にならなくなる。
また絵心役の窪田正孝がミステリアスで、すべてを分かってるカリスマ性もあって、続きが気になる・・・! 

一番心残ったセリフは蜂楽が絶対絶命の時に「わくわくドキドキするね。絶体絶命、楽しまなきゃ」というもの。そう、勝利という結果より、今の状況を楽しむ。それは、実生活でも基本だよね。
そんな心に残る示唆に富んだセリフ散らばる、快作です!!

 

■原作: 金城宗幸・ノ村優介『ブルーロック』(講談社「週刊少年マガジン」連載)
■監督: 瀧悠輔
■脚本: 鎌田哲生
■制作: CREDEUS
■製作: CK WORKS
■配給: 東宝
■出演: 高橋文哉 櫻井海音 高橋恭平 綱 啓永 野村康太 K(&TEAM)青木 柚 西垣 匠 富本惣昭倉 悠貴 東 啓介 畑 芽育 窪田正孝

※128分

2026年8月7日(金)全国公開
©金城宗幸・ノ村優介/講談社 ©CK WORKS