自らの価値観を揺らしてくる佳作
アイドルの葛藤と選択を息詰まる展開で描く!!
じっくりと語られる話の展開に息を詰めて見入った作品である。面白い。でも、それだけじゃなく、なにか、棘のような痛みが残る佳作だ。その痛みは深田監督作ならではのもので、自分の価値観を揺るがしてくるような気配を感じる不穏なものでもあり、考えさせられた。何かの選択の時に、うっすらと私の指針のひとつと浮上しそうな気がする。
お話はアイドルグループの派手で楽しい舞台から始まる。元日向坂46の齋藤京子が主演ということで、さすがの舞台パフォーマンスだ。思わず見入ってしまった。そのアイドルグループ「ハッピー☆ファンファーレ」のセンターを務める真衣はグループでもマイペースなキャラで大人びている。ある日メンバーの菜々香の恋愛が発覚し、菜々香は謹慎。真衣は複雑な気持ちになる。真衣にも気になる人がいたからだ。偶然再会した中学の時の同級生、敬。次第に真衣は敬への気持ちを抑えられなくなり恋愛関係に。そして、ふたりは所属事務所から訴えられ裁判となる……。

訴えられ裁判になり
彼女が失ったものと得たものは?
ここで描かれる事件はかつて本当にあったことだ。なのですごくリアルな話として興味深く見られる。アイドルは恋愛禁止とか、ファンは推しに多額なお金を使うとか、ファンが起こした暴力事件とか。真衣は冷静で知的なキャラで、彼女が一時の感情で敬に走ったものの、その後変化していく過程が面白い。彼女は一時の感情で失ったものと得たもの、両方ある。もしかしたら失ったものの方が大きいかもしれない。でも、彼女の選択は彼女の全人生、全人格を賭けてのものだ。だから、素晴らしい。彼女が決断をする時に見る、窓の外の景色が印象に残る。彼女は景色を見ていたのではない。自分の内奥を見ていたのだ。私たちはラストで、得たものの方が大きかったのだ、と思えるだろう。たとえ、現実は違っても。
しかし、映画を見ながらアイドルは恋愛禁止、恋愛禁止条項が契約書にあるとか、会いにいけるアイドル。CDなどを沢山買えばアイドルと何度もしゃべれるとか。そういう芸能界、そういうアイドルを作ったプロデューサーの功罪を改めて考えた。それは日本の芸能界の恥部であり暗部であろう。

企画・監督・脚本 深田晃司
共同脚本 三谷伸太朗
出演 齋藤京子 倉悠貴 仲村悠菜 小川未祐 今村美月 桜ひなの 唐田えりか 津田健次郎
※124分
©2025「恋愛裁判」製作委員会
※1月23日(金)から全国東宝系にて公開中


















