ずっと片思い世界で生きる3人
旬の女優の好演に涙を止められない……。
広瀬すず、杉咲花、清原果耶のトリプル主演という奇跡の一作。それぞれが主演を張れるのに、3人を一緒に映像で見られるなんて! なんて、豪華! しかも脚本は「怪物」の坂元裕二だよ。監督は土井裕泰だよ。これは観なくちゃ! とるんるんで試写に行ったのだった。そして、泣いてしまいました。巧妙に伏線が張られた感動作だった。坂本裕二の得意技が美しく表出された佳作。
3人の旬の娘たちの美しさとオーラもほとばしり、目の保養にもなる一作である。美咲(広瀬)、優花(杉咲)、さくら(清原)の3人は古い一軒屋で仲良く一緒に暮らしている。それぞれ、会社、学校、バイトと忙しい日々だ。彼女たちは家族でも姉妹でもないようだけど、ここでもう12年も暮らしいるらしい。お姉さんの美咲はいつもバスで見かける男性のことがずっと気になっていて。さくらは、声をかけろとけしかけるのだが……。

伏線回収シーンが肝!
クライマックスシーンが美しく感動的!!
なんか、変だな? と思いつつ、途中で「あっ」と思わされる。そういうことか。これは辛い話なのだ。とても。ネタバレになるのであまり書けないが、優花のエピソードは最初に泣かされる。そして、美咲のクライマックスのシーン。ここは一番の泣き所だろう。広瀬すずと横浜流星の静かで美しいシーン。彼らの好演に私も「なるほど~そうきたか」と思いながらツーッと涙が流れた。どちらも伏線回収が肝です。
暗い横浜流星、すごく良い。彼のことだから、ピアノも自分で弾いているんだろうな。横浜流星は広瀬すずと共演した「流浪の月」のDV彼氏の役も抜群に良かったけど、今回も助演ながらすごく良い。NHKの「べらぼう」も私、毎週楽しみに観ているのだよ。
広瀬すずがやはり、一番主演度が高いのだが、彼女は意外にグラマーなのだな、と今回気づいた。衣装が独特なので(3人とも)、胸が目立ったこともあるのだろうけど。お姉さん的な立ち居地もマッチしているし、今が一番綺麗な時かなと、感じた。彼女の美しさを観るだけでも本作は眼福だろう。3人の演技のコンビネーションも抜群だし相性も良かったのだろうと察する。

日々を慈しんで生き、大切な思いは
すぐに伝えるようにしたい!!
辛い話だけど、ラストは明るい。彼女たちみたいな状況で生きている人たちもいるのかもしれない。いや、たくさんいるのだろう。いろんな世界があるのだ。私たちは必ずしも思いを全て伝えることはできない。だから、日頃から大切なことはすぐに伝えるようにしたい。できるかぎり。また、日常は大切に慈しんで生きていこう。何が起こるか分からない。そんなことを改めて考えさせられた作品でもあった。
監督 土居裕泰
脚本 坂元裕二
出演 広瀬すず 杉咲花 清原果耶 横浜流星 小野花梨 伊島空 田口トモロヲ 西田尚美
※126分
※4月4日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
配給:東京テアトル、リトルモア
Ⓒ2025『片思い世界』製作委員会