一宮千桃のセンスアップ☆シネマレビューPART.279「インサイド・ヘッド2」

インサイドヘッド

新しい感情を受け入れよう!! ダメな自分自身を愛する!! 

ことの大切さに気づく佳作!!

前作の「インサイド・ヘッド」は号泣してしまった、大好きなアニメだ。ライリーという女の子の中の喜怒哀楽たちが彼女の感情を見守り、手助けしている繊細なテーマの傑作だった。そして、今作はその続編。

思春期を迎えたライリーに成長の機会が訪れる。それを喜怒哀楽(ヨロコビ、カナシミ、ムカムカ、ビビリ、イカリ)たちはいつものように受け入れようとするんだけど、大人の感情(シンパイ、イイナー、ダリィ、ハズカシ)が邪魔をする。複雑な新しい感情たちは、ライリーの新しい挑戦に影を落とす。それを阻止しようとする喜怒哀楽たち。

怒涛の感情のせめぎあいとジェットコースター並みの展開があり、ラストはホロリとさせて大団円。ディズニーお得意の佳作の仕上がりだ。ただし、前作には及ばない。大人の感情たちは、子供の頃のライリーにもあったのではないかしら? 

また、展開が速すぎて、感情たちの機関銃のようなしゃべりには、正直私のリズムと合わずついていけない箇所もあり。これは子供は大丈夫なんだろうか? とも思ったりして。年々、ディズニーアニメの展開が超スピードで速くて……まあ地球の自転も速くなってるみたいだからしかたないのかな……。

インサイドヘッド


いくつになっても感情の嵐に翻弄される私たち

自分の感情に素直になるって!?

さて、ストーリーを少し。ホッケーチームで活躍中のライリーは友人ふたりとホッケーのキャンプに参加。しかし、そこで、友人たちが自分と同じ高校に進まないと知って動揺。また、憧れの先輩に声をかけられて、友人ふたりより、先輩といることを優先してしまう。

あれっ、こうしたいんじゃないのに、感情とは逆の行動をとってしまうライリー。感情たちは大慌て。司令部にやってきた新しい感情たちはライリーの変化の邪魔をしているライリーの根幹である「ジブンラシサの花」を引っこ抜いて、喜怒哀楽たちを司令部から追放してしまう!

ライリーの頭の中がパニックになって、どうしたらいいの? ってなるのは思春期のみならず、いくつになっても、という気がする。いつも、私たちの心の中は喜怒哀楽や心配、妬み、白け、恥、だけじゃなくて、もっともっと複雑な感情が渦巻いている。人間は感情の生きものである。感情で行動する。それをコントロールするのが、大人だとか、良い、とされているが、そうだろうか?

素直に冷静に感情を表現するのは、大切なことだと思う。感情を抑えることはある意味、一番良くないのではないか? わがままや自分勝手ではない、それこそ自分の感情に忠実になってこそ、「ジブンラシサ」は実現できるのでは? 時代は「風の時代」に入ったとされる。

本作を観ながら、自分らしさって何かしら? と考える。ライリーは自分の感情に素直になって友人に抱きしめられ、友人を抱きしめる。友人が大好きで、大切だからだ。友人たちもしかり。人は素直になった姿に感動する。クライマックスのここは泣きました。

インサイドヘッド

多くの現代人に対するメッセージを含む

今あなたに必要なことは? をしばし考える

本作の監督のメッセージ「この映画は自分自身を受け入れることがテーマ。ダメなところも含めて自分を愛すること。誰しも愛されるために完璧である必要はない」。最近良く言われてることである。それだけ多くの人が自分自身を受け入れられず、愛していないのだろう。

私もそうだ。他人を愛さなくちゃ、と外にばかり目が行って、まず自分てのを忘れていた。私は毎日、自分に「愛してるよ」と声をかけている。「そんな頑張らなくていいよ」って。

本作は、自身の感情について考えさせられる貴重なテーマを持つ。今、なぜ本作が作られたのか、よく考えてみることも大切だ。感情があるからこそ、人間なのだから。

監督 ケルシー・マン

脚本 メグ・レフォーヴ デイブ・ホルステイン

声の出演 大竹しのぶ 多部未華子 横溝菜帆 村上 小清水亜美 小松由香 落合弘治 浦山迅

花澤香菜 坂本真綾

※96分

※8月1日(木)から全国ロードショー





  

  

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