文句なしに面白い大ヒットシリーズ最新作
大将軍の壮絶な死闘に涙涙……!!
私が楽しみにしているシリーズの最新作だ。シリーズとしては4作目。前作から続きの振りがすごかったので、より楽しみにしていたけど、満足の大感動作となっていた。しかし、またまた、次回作への振りがすごくて、次の作品にも期待が高まる。一体どこまで続けるつもりなのか、少々不安にもなったりして……。
中国の天下統一までいけるのか? 行って欲しいが、この遅さでは原作のマンガに追いつけないだろうな。しかし、実写の本作はマンガやアニメより評判が良いらしく、是非とも切りのいいところまで続けて欲しい。本格アクション作として、海外に出してもひけを取らない出来なので。
さて、今作は主人公の信の話より、信をかわいがっている秦の将軍、王騎の物語、と言っても過言ではないほど彼のエピソードがメインだ。前作で信をリーダーとする飛信隊の元へやってきた超凄腕の怪物、武神ホウケン。彼は趙国の総大将で、王騎将軍と過去に因縁があった様子。
そのホウケンに仲間を多数殺され、自身もボコボコにされた信。傷ついた信を背負って逃げる仲間たち。しかし、信は悲しい別れを味わうことに。秦と趙の戦いの幕は切って落とされたが、その戦いを高みの見物をしている軍師、李牧とは? 王騎とホウケンの過去の決着は今着けられようとしていた……!

王騎と永年の宿敵ホウケンとの因縁
壮絶な闘いは双方一歩も譲らず!!
見所はふたつ。前半の信と仲間との別れ。泣きました。三浦貴大(尾到)が山﨑賢人を背負って逃げるんだけど、小柄な三浦には筋肉のついている山﨑を背負うのは大変ハードだったろう。彼の、信を助けるんだ、という思いがヒシヒシと伝わってきた。二人の会話に涙涙……。
そして、王騎将軍とホウケンの一対一の死闘。このホウケンて、むちゃくちゃ強いんだ。向かうところ敵なし。強すぎ。黒澤明の「隠し砦の三悪人」を模したような決闘シーンに胸が躍る。ああ、しかししかし……。この王騎のキャラが魅力的だっただけに、展開にはやはり、涙涙……。真の将軍の姿を見た気持ちになった。全てのリーダーのお手本です。
信はふたつの別れでより成長を遂げたことだろうな。感動のラストとなっている。しかし、王騎の妻役の新木優子がちょっと線が細いかな。でも、この役を演じられる若手女優が日本にはいない。天海祐希がピッタリだけど、歳行き過ぎてるもんな。
俳優たちのコスプレはなかなかに楽しいし、アクションも本格的、話も面白い、文句なしのエンターテインメント作の仕上がりだ。ちょっと劇場版「鬼滅の刃」無限列車編を思い出してしまった。煉獄さんの死に共通するものがあるのよね。死は決して無駄ではなく、繋げていくことが大切なのだ。皆、役目を終えたら、さっさと向こうへ帰るのだから、ね。

監督 佐藤信介
脚本 黒岩勉 原泰久
音楽 やまだ豊
原作 原泰久「キングダム」(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)
出演 山﨑賢人 吉沢亮 橋本環奈 清野菜名 吉川晃司 小栗旬 大沢たかお 要潤
山田裕貴 岡山天音 三浦貴大 新木優子 長澤まさみ
※146分
©原泰久/集英社 ©2024映画「キングダム」製作委員会
※2024年 7月12日(金) 全国東宝系にて公開