一宮千桃のセンスアップ☆シネマレビューPART.259「ザ・メニュー」

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神経を逆なでされる震撼新手ホラー!!

美味しそうな料理は出てきません!!

 

怖ろしい映画である。震撼した。

事前に映画の情報は先入観が入るのでほとんど入れない私。

今作も、有名レストランでのシェフの至高の料理が出てくるグルメ映画かしらん? と思って楽しみ試写に行ったのだけど……。

「ホラーじゃん!!!!」叫べるものなら叫んでいた。

試写室を出れるものなら走っておん出ていた。

神経がピリピリして、お尻がむずむずして、頭を抱えたくなったよー!!!

おっそろしいホラー。

そんじょそこらの霊とか、殺人とか恨みとか、そんなんぶっとぶ心底凍りついたおっとろしい映画でした……。

もう私の精神はのたうちまわった。

ああっどうしたらいいのか。こんな面白い映画。

震えながら私は大いにこの映画を楽しんだのだ! おおっ神よ!! 許したまえ!! (笑)

 

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海の中の小島に建つ高級レストラン

それだけで逃げ場なし、で怖い!!

 

太平洋の小島という、世間から隔絶された場所に建つ高級レストラン。

そこへ選ばれた数組の客たちが小船に乗ってやってくる。

伝説的なカリスマシェフが今回振舞う料理は特別で事前に厳選された客ばかり。

自己中心的なグルメマニア、有名な料理評論家、落ち目の映画スター、成金トリオなど、裕福で一癖も二癖もありそうな客ばかりだ。

しかし、その中に一人名簿の客とは違う招待客が。

彼女、マーゴはたかが料理にこんな過度の期待をかける客たちをバカにしたような態度をとる。

そして、それぞれの思惑を含みつつ、客たちの前に過剰な演出の一品目、二品目……が。

狂気のシェフの絶品コースの狂想曲が鳴り響くのだ!!!

 

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完璧な人生と料理を目指すシェフと謎の女

ふたりの闘いは丁々発止へと……!!

 

世界中に高級レストランは多数あり、またドキュメンタリー映画もいくつもあり、富裕層のみならず、人々は美味しいものを食べることに躍起だ。

それを揶揄した映画でもある。

これが料理? という凝った盛り付けにため息と驚嘆の表情で料理を味わう客たち。

軍隊のようにシェフの下で統制された動きをするスタッフたち。

何かおかしい。

ひとり気づきシェフと対峙するマーゴが果敢で、謎だ。

彼女は何者なのか? 誰かこのレストランから脱出できるのか?

ミステリーとサスペンスが絡み合った絶品新手のホラー。

いやはや、ラストに至ってはひょえーっの展開。もう笑うしかなかった。

 

毎日、ほぼ同じものを食べている私としては、一人1250ドルのディナーってはっ? って思う。

私は貸農園で自分で作った野菜を毎日食べている。それは、ある意味高級な食材と思う。

料理は塩でシンプルに、だ。

本作はスノッブになっていく人間の醜さ、愚かさが赤裸々な人間ドラマを見せてくれて、もうお腹一杯なのだった。

シェフ役のレイフ・ファインズの目が「シンドラーのリスト」と時と同じでイッてた。

怖いと面白いって紙一重。

 

 

 

監督 マーク・マイロッド

脚本 セス・リース&ウィル・トレイシー

出演 レイフ・ファインズ アニャ・テイラー=ジョイ ニコラス・ホルト ホン・チャウ

ジャネット・マクティア リード・バーニー ジョン・レグイザモ

 

※108分

※11月18日(金)から全国

©2022 20th Century Studios. All rights reserved.
 

 

 

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