一宮千桃のセンスアップ☆シネマレビューPART.257「さかなのこ」

さかなのこ

さかなクンの仰天半生に学ぶ

正しい子育て、正しい地球での生き方!!

 

この映画は正しい子供の育て方の映画である。

そしてまた、正しい地球での生き方の映画である。

本作はさかなクンの自伝の映画化という。

ハコフグの帽子をいつもかぶったお魚博士さかなクン。

彼のことについてはそんなに知らないのだけど、お母さんが凄く素晴らしいというのは知っていた。

その素晴らしさは本作の要である。

しかし、さかなクンが最初はイラストレーターとして出発したことや、なかなかお魚関係の仕事につくもうまくいかなかったことなど、全然知らなかったので超面白く新鮮だった。

でも、どこでもただお魚一筋の興味は、彼の身を助けたのである。

芸は身を助けるだ。

極めることは、喜びであり、大成のヒントなのだ。

 

 

さかなのこ

 

お魚大好き、絵を描くのが大好きな

この子はこれでいい、偉大な母の偉大な言葉!!

 

お魚命の小学生、ミー坊は毎週末水族館で飽きもせずタコやお魚を観察。

お兄ちゃんはいねむりしてるけど、お母さんはミー坊と一緒にタコを見て優しく見守っている。

タコに恋してタコを飼うといった時もお母さんは、いいわよ、って言ったし、変な帽子をかぶったお魚に詳しいおじさん(さかなクン本人が出演)の家に遊びに行きたい、と言った時もお父さんは反対したけれど、お母さんは許してくれた。

そんなミー坊も高校生になった。

けど、相変わらずお魚に夢中でお魚の絵を描いてばかり。

周りの友だちは、その偏執的なお魚愛に巻き込まれ、ヤンキーたちからも尊敬されて友人はたくさん。

しかし、進学もあやぶまれ担任の先生は三者面談でミー坊にハッパをかけるのだが……。

ここで、お母さんが言う言葉が素晴らしい!!

「先生、この子はお魚が大好きなんです。だからこれでいいんです。成績が優秀な子もいればそうでない子もいて、だからいいんじゃないですか。みんながみんないっしょだったら先生、ロボットになっちゃいますよ」

先生絶句。ミー坊もお母さんの顔を改めて見直す。

このお母さんが言うことは自伝によると一貫していて、「勉強しなさい」とか「お魚のことはこれくらいにしときなさい」などと言ったことは一切なかったそう。

「お魚が大好きなんだから、好きなだけ絵を描くといいよ」そう言っていつも背中を押してくれたそうです。

これぞ、子供の育て方の基本でしょう。

 

さかなのこ

 

本気でその道を進むなら、全てのものは

あなたのために道を開けてくれる!!

 

お魚のことと、絵を描くこと以外はほぼ何もできないミー坊のむちゃくちゃ? な日々が楽しい。

笑いどころ満載で彼のぶっとんだキャラは愛さずにはいられない。

このミー坊を女優ののんが演じているのだが、女性が演じててもあんま違和感なし。

のんの、ピュアでのほほん演技がさかなクンにぴったりなのだ。

幼馴染のひよや、すし屋の友人などみんな笑えて優しい。

さかなクンの周りには悪い人はいないようだ。

さかなクンの人徳だな。

ひとつの好きなことにとにかく全力投球、一生懸命って周りの人を動かす。助けてくれる。

「わが谷は緑なりき」という映画で勉強をしたいと夢を目指す少年に、先生が「あなたが本気でその道を進みたいと思うのなら、人々やモノやこの机だってあなたのために道を開けてくれるわ」

と言うのだが、まさにそれ。

自分が好きなこと、ワクワクウキウキすることをやることは幸せへの近道で、この地球での正しい生き方なのだ。

さかなクンの半生はそのことを教えてくれる。

今、さかなクンの自伝を読んでいるのだけど、面白い人生!! さかなクン「ぎゃあああああっ!!」って毎度叫んでて、漫画みたいな人生なのだ。

さかなクンの人生から学ぶことは山盛りでぎょざいます!! ぎょぎょっ!!

 

 

監督・脚本沖田修一

脚本 前田司郎

原作 さかなクン

出演 のん 柳楽優弥 夏帆 磯村勇斗 岡山天音 さかなクン 三宅弘城 井川遥

※139分

※9月1日(木)から全国ロードショー

 

 

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