さかなクンの仰天半生に学ぶ
正しい子育て、正しい地球での生き方!!
この映画は正しい子供の育て方の映画である。
そしてまた、正しい地球での生き方の映画である。
本作はさかなクンの自伝の映画化という。
ハコフグの帽子をいつもかぶったお魚博士さかなクン。
彼のことについてはそんなに知らないのだけど、お母さんが凄く素晴らしいというのは知っていた。
その素晴らしさは本作の要である。
しかし、さかなクンが最初はイラストレーターとして出発したことや、なかなかお魚関係の仕事につくもうまくいかなかったことなど、全然知らなかったので超面白く新鮮だった。
でも、どこでもただお魚一筋の興味は、彼の身を助けたのである。
芸は身を助けるだ。
極めることは、喜びであり、大成のヒントなのだ。
お魚大好き、絵を描くのが大好きな
この子はこれでいい、偉大な母の偉大な言葉!!
お魚命の小学生、ミー坊は毎週末水族館で飽きもせずタコやお魚を観察。
お兄ちゃんはいねむりしてるけど、お母さんはミー坊と一緒にタコを見て優しく見守っている。
タコに恋してタコを飼うといった時もお母さんは、いいわよ、って言ったし、変な帽子をかぶったお魚に詳しいおじさん(さかなクン本人が出演)の家に遊びに行きたい、と言った時もお父さんは反対したけれど、お母さんは許してくれた。
そんなミー坊も高校生になった。
けど、相変わらずお魚に夢中でお魚の絵を描いてばかり。
周りの友だちは、その偏執的なお魚愛に巻き込まれ、ヤンキーたちからも尊敬されて友人はたくさん。
しかし、進学もあやぶまれ担任の先生は三者面談でミー坊にハッパをかけるのだが……。
ここで、お母さんが言う言葉が素晴らしい!!
「先生、この子はお魚が大好きなんです。だからこれでいいんです。成績が優秀な子もいればそうでない子もいて、だからいいんじゃないですか。みんながみんないっしょだったら先生、ロボットになっちゃいますよ」
先生絶句。ミー坊もお母さんの顔を改めて見直す。
このお母さんが言うことは自伝によると一貫していて、「勉強しなさい」とか「お魚のことはこれくらいにしときなさい」などと言ったことは一切なかったそう。
「お魚が大好きなんだから、好きなだけ絵を描くといいよ」そう言っていつも背中を押してくれたそうです。
これぞ、子供の育て方の基本でしょう。
本気でその道を進むなら、全てのものは
あなたのために道を開けてくれる!!
お魚のことと、絵を描くこと以外はほぼ何もできないミー坊のむちゃくちゃ? な日々が楽しい。
笑いどころ満載で彼のぶっとんだキャラは愛さずにはいられない。
このミー坊を女優ののんが演じているのだが、女性が演じててもあんま違和感なし。
のんの、ピュアでのほほん演技がさかなクンにぴったりなのだ。
幼馴染のひよや、すし屋の友人などみんな笑えて優しい。
さかなクンの周りには悪い人はいないようだ。
さかなクンの人徳だな。
ひとつの好きなことにとにかく全力投球、一生懸命って周りの人を動かす。助けてくれる。
「わが谷は緑なりき」という映画で勉強をしたいと夢を目指す少年に、先生が「あなたが本気でその道を進みたいと思うのなら、人々やモノやこの机だってあなたのために道を開けてくれるわ」
と言うのだが、まさにそれ。
自分が好きなこと、ワクワクウキウキすることをやることは幸せへの近道で、この地球での正しい生き方なのだ。
さかなクンの半生はそのことを教えてくれる。
今、さかなクンの自伝を読んでいるのだけど、面白い人生!! さかなクン「ぎゃあああああっ!!」って毎度叫んでて、漫画みたいな人生なのだ。
さかなクンの人生から学ぶことは山盛りでぎょざいます!! ぎょぎょっ!!
監督・脚本沖田修一
脚本 前田司郎
原作 さかなクン
出演 のん 柳楽優弥 夏帆 磯村勇斗 岡山天音 さかなクン 三宅弘城 井川遥
※139分
※9月1日(木)から全国ロードショー
《一宮千桃さんの記事一覧はコチラ》
https://www.el-aura.com/writer/ichimiyasentou/?c=26311