一宮千桃のセンスアップ☆シネマレビューPART.248 「ドリームプラン」

驚愕のプランで娘を世界チャンピオンに！
むちゃくちゃ父親のびっくり感動実話!!

ウィル・スミスはこういう実話の映画化が好きなんだろうな。
また、この人は悲壮な状況に打ち勝つ、って時の表情が抜群に上手いと思う。
今回、ウィル・スミスが本作でアカデミー賞にノミネートされてることは知っていたけど、どんな内容か全然知らなかった。で、見てびっくり！
世界最強のテニスプレイヤーのビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹の父親の実話だった。
ビーナスとセリーナは猛獣みたいな顔で弾丸サーブを繰り出すごっついテニス選手、って印象で、とにかく喰われそう、っていつも思っていた。
21年の全豪オープンで大坂なおみにセリーナが負けたのも記憶に新しい。
しかし、それくらいしかこの姉妹については知らなくて、まさか、こんなワンマンな父親がいて、しかも、この父親のおかげで姉妹は偉大な世界チャンピオンになったのだと知ってまたびっくり。
そして、この父親の実行力とむちゃくちゃぶりにまたまたびっくりしたのだ!!
でも、ラストは号泣!!　この父親はスッバらしい!!　と激賞必至!!　良かったよ～ん!!

この父親は間違っていない!!
彼の言動に驚愕しつつ目を覚まされる！

5人の娘を持つリチャードはふたりの娘ビーナスとセリーナを世界的なテニス選手にしようと、78ページにも及ぶ計画書をふたりが生まれる前に独学で作る。
リチャードはテニス未経験者だが、確固とした意志と自信でふたりを指導。
裕福ではなく、練習場所も劣悪な環境だったが、リチャードは持ち前の強引さと行動力と図々しさで有名コーチの指導も勝ち得、どんどんプランを実行していく。
時には妻の反発や、娘たちのとまどいもあるが、それでもこの父親を信じて家族は一丸となって成功への道をつき進んでいく。
しかし、ビーナスのデビュー戦を巡りリチャードは妻とビーナスと対立してしまう……。

すんごい父親である。
すべて自分のやることは正しい、間違っていない、という認識で家族を強引に引っ張っていく、迷惑な天動説オヤジなんである。
しかしその自信たっぷり状態とわが道を行く状態に、一瞬引くのだけど、その時々に彼は間違っていないのだと気づく。
成績が上位でないとテニスの練習はさせないとか、謙虚さを学ぶまでディズニー映画を何度も見させるとか、学業を修めてからでないとデビューさせないとか、すべては娘がチャンピオンになる、ももちろんだけど、人間として大切なこと、自立できること、成功しても自分を見失わないこと、を幼少時から叩き込んでいるのだ。
これは黒人だと言うことも関係ある。黒人故の教育の側面もある。
しかし、基本は人間としてだ。この父親は偉大な親である。
彼がいなかったら、姉妹は世界チャンピオンにはなっていないし、人間的な成長もなかっただろう。
まるで「巨人の星」の星一徹のような父親だけど、成功者の影には偉大な親が必ず存在する。

デビュー戦で手に汗握る興奮！
たくさんのことを教えられ、もらえる秀作!!

リチャードの綱渡りのようで自信たっぷりのコーチへの売り込みや関係者への態度にはハラハラさせられる。
しかし、それがどんどんステップアップになっていく過程は見ていて胸がすく思いでワクワクする。
すごいぞ、この父親は、と。ウィル・スミスが嫌なんだけど、なぜか憎めない父親を好演!
そして、一番の見所はクライマックスのビーナスのデビュー戦だろう。
ハラハラヤキモキイライラ。
ここでは、選手の品位、というものが試される。
一番、リチャードが娘たちに教えてきたことだ。
それゆえ、多くの観客がセリーナのデビュー戦を讃えたのだろう。ここはほんと泣けます!!

思うに、ほんとうに夢を叶えたいと思ったら不可能はないのではないか。どんな手段を使っても。
でも、人間としての基本は外さない。それで、いいのではないか。他人がなんと言おうとも。
改めて、有限実行の大切さ、とにかく行動すること、勇気、たくさんのものを教えられ、もらえる秀作である。

監督　レイナルド・マーカス・グリーン
脚本　ザック・ベイリン
出演　ウィル・スミス　アーンジャニュー・エリス　サナイヤ・シドニー　デミ・シングルトン
トニー・ゴールドウィン　ジョン・バーンサル

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