一宮千桃のセンスアップ☆シネマレビューPART.243 「殺人鬼から逃げる夜」

殺人鬼から逃げる夜

とにかく、怖ろしい逃走アトラクション
耳の聞こえないヒロインの賢さに感動!!

あまりに怖くて怖くて泣きそうになった、実際ちょっと涙が出てしまった。ほど、こわ~いサスペンス・スリラー。これって一種のホラーですね。
でも、観終わってすっきりしたって。「面白かったよおーっ」と気分が揚がっている自分がいた。
コロナ禍でのガス抜きに最適なアトラクション? と言える。韓国映画のサスペンスはほんと半端ない恐ろしさである。
優れた韓国映画って「人間」が描かれてるから、見入ってしまうんだろうな、と思う。
対して、日本映画って、どうして人間を描けなくなってしまったんだろう?? 誰も、人間に興味がなくなったのか? 自分に興味がなくなったのか? なんて考え出したらキリがなくなってしまうんだけど、今、自分自身を見つめなおすことは最重要課題だと思うこの頃だ。
今年の冬至までに目覚めることを選ばないとそのまま目覚めることはないと、並木良和さんも言ってるしね。

殺人鬼から逃げる夜

 

殺人を目撃した明るく母親思いのヒロイン
殺人鬼の追走に走って走って逃げまくる!!

さて、本作。主人公は耳が聞こえないギョンミ。そして同じく母親も耳が不自由だ。
ギョンミはお客様センターで手話部門を担当している。手話でも、表情豊か。
(「ドライブ・マイ・カー」という映画でも舞台を手話で演じるという韓国人の女優が出てくるが、これが素晴らしく美しくて、饒舌で魂が滲み出すような深みと悲しみが表出していて、その手話に見入ってしまったが、日本の手話とは全然違うなあ~と本作でも感じ入った。韓国人の手話は手だけのダンスのようだ)。
そのギョンミが、殺人現場を目撃してしまう。そして、そのために連続殺人鬼に目をつけられ、どこまでも執拗に追跡され、ギョンミは逃げる逃げる逃げる! というシンプルな展開。
しかし、そこへ母親や、妹を刺された元海兵隊の兄やらが絡んで追跡アクションだけじゃなくて拳闘アクションもありと、盛りだくさんな内容。

殺人鬼から逃げる夜

 

ハラハラドキドキのスリル満点の展開
観終わってスッキリすること確約の快作!!

とにかく、耳が聞こえないし、喋れないので、主人公は圧倒的に不利なんだけど、狡猾な殺人鬼から頭の良さと機転を働かせ、あと、体力でとにかく間一髪で走って走って逃げまくる。耳が聞こえないという点を生かした演出もハラハラドキドキ。
殺人鬼が主人公の部屋に音もなく侵入し、主人公の真後ろまで来た時には「ひょえ~!!」「早く気づけ気づけ!!」と悶絶しそうになった。
また、主人公の車についた騒音測定器や部屋にはライトの点滅で音を分からせる警告灯があり、「なるほど」と知識を得た。
耳の聞こえない人の日常を想像することが少しでもできるし、それらを効果的に使って主人公の危機を表現している点も素晴らしい!!
一瞬たりとも気を抜くことができないんだけど、絶体絶命のラストには驚愕!! そう来たか~!!
とヒロインの賢さにびっくり仰天してしまった。「なんて聡明なヒロインだ!!」拍手喝采である。
そしてラストショットは気が緩んでほんとうるうる。脱力しました。いい意味で。
緊張ばっかだと交感神経全開でヤバイけど、この緩急のつけ方、「はあ~っ」スリル抜群で最高でしたよ!!
家でうつうつ籠ってばかりの人は、是非映画館で本作を観てスカッとして欲しい、今貴重な快作です!!

監督・脚本 クォン・オスン
出演 チン・ギジュ ウィ・ハジュン パク・フン キム・ヘユン キル・ヘヨン

※104分
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※9月24日(金)から全国ロードショー

 

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