一宮千桃のセンスアップ☆シネマレビューPART.242 「Summer of 85」

Summer of 85

ひと夏の刹那的な恋物語
美しい男の子の絡みにテンション上がる!!

フランソワ・オゾンが17歳の時に原作を読んで深く影響されたというエイダン・チェンバースの小説「おれの墓で踊れ」の映画化だそう。
ゲイであるオゾン監督が十代で読んで影響を受けたのがすごく良く分かる話だ。
美しい男の子ふたりのひと夏の恋物語。彼らの美しい肌やセクシーな媚態を見ているだけで満足させられる一作となっている。
日本は夏まっさかりなのに、雨ばっかりで「もう今年の夏は終わったな」観ありありだけど、本作に閉じ込められた1985年の夏はどこまでも夏、まさに一瞬の激烈な夏なんである。
あ~っ懐かしいな、この感じ。

1985年ノルマンディーの海岸。
16歳のアレックスはヨットでひとり沖に出るが、転覆してしまう。
それを助けてくれた18歳のダヴィド。
彼はアレックスを家に誘い、あれこれ世話を焼いてくれる。
美しいダヴィドの母から「息子をよろしく」と言われ、ふたりは急速に仲良くなる。
毎日海や遊園地や、バイクでの遠出など遊びまくり、アレックスはダヴィドの母親が営むマリンショップでバイトを始めたりと、ふたりが親密な関係になるのはすぐだった。
しかしラブラブな関係になったものの、ダヴィドは刹那的な生き方を好む少年で、アレックスの知り合いのイギリス女性と関係を持ってしまう。
そして、激怒するアレックスに冷たく別れを言い放ち……。

Summer of 85

 

美少年ふたりの肌、尻の美しさ!
口元のやらしさ、目つきのねっとりさ!

「どちらか片方が先に死んだら、その墓の上で踊る」ことを誓わせるダヴィド。
この約束があるからこの物語はただの恋物語になっていない。
アレックスは誓いを守ることでダヴィドの呪縛から逃れるのだ。
とても文学的なんだけど、オゾン特有の下世話な展開もあって、笑わせる。
特にアレックスが女装するところは、オゾン、女装させるの好きだよな~、と少々呆れたくらい。
なんか、ここらはゲイ特有の感性かもしれない。

見所はなんといっても少年ふたりの美しさ。
ふたりともほぼ新人ながら、際どいシーンもこなして素晴らしい!!
全裸でのアレックス役のフェリックス・ルフェーヴルの尻の綺麗なこと。
真っ白でぷりぷり。
それをなぞるダヴィド役のバンジャマン・ヴォワザンのヤラシイ手つきと目つき。
息が止まりました。
バンジャマンはとにかくセクシーで、口元とか目元とかエロくてヤバイ!
ちょっと日本にはいないタイプの美青年でクラクラした。
対してフェリックスは背も低くて(足も短くて)中学生みたいな感じ。
でも顔は整いまくりの美少年! うっつくしーっ、正統派美少年だ。
お肌まっちろっだし。

Summer of 85

 

恋だもの。はかなくていい。
85年の夏と恋を堪能するだけでいい!!

ふたりが恋の初めの頃に母親に隠れて店でキスするシーンなんて、男女でも同じだよね、このキスしたい一瞬でも一緒にいたい感、とニヤニヤしつつ納得。
あ~私もそんなことあったなー。なんて感慨にふけったり。
音がしそうなふたりの濃厚なキスシーンをしんねり観てしまった(笑)。

しかし、ふたりのこの激しい恋は6週間。
はかないな。なんか恋というより、性欲かもしれん。
ラストのあっけらかんの展開には「はっ?」と思ったけど、一瞬の夏の恋だもの。それでいいんだわ。
いいもの見せてもらったし(笑)。やっぱ、綺麗なものを見るとテンション上がるな。こういうものもたまに観て気分上げないとね。
天気や天変地異は人々の意識が上に上がって変えていくものだから、今の長雨も、私たちの意識がそうさせている可能性大。
だから、本作を観て少しでも心地良くなれば、雨もあがる! だろうっ。

 

監督・脚本 フランソワ・オゾン
原作 エイダン・チェンバース
出演 フェリックス・ルフェーヴル バンジャマン・ヴォワザン ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ
イザベル・ナンティ フィリッピーヌ・ヴェルジュ メルヴィル・プポー

※101分
© 2020-MANDARIN PRODUCTION-FOZ-France 2 CINÉMA–PLAYTIME PRODUCTION-SCOPE PICTURES
※8月20日(金)
新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、
Bunkamuraル・シネマ、グランドシネマサンシャイン池袋ほか全国順次公開
配給:フラッグ、クロックワークス

 

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