一宮千桃のセンスアップ☆シネマレビューPART.231 「野球少女」

野球少女

未来を自分の力で切り開く少女
その姿に涙ほとばしる感動の嵐!!

素晴らしい映画だった。ずっと涙が溢れて止まらなかった。
今もプレスを読みながら涙涙で、この作品に出会えたことがもう感謝! だ。

映画を観続ける喜びはこれだと思う。感動だ。
感動したいために私は映画を観ている。
本作は全ての夢を追う人に見て欲しいが、特に女性は必見。
そして大感動するのではないかと思う。
それは女性に対する世間の差別や偏見や、男社会の実態を描いているから。
プロの野球選手になりたい少女の奮闘の映画って、それだけでもう面白そうだよね!(でも、本作は実話を元にしているそう)。

球速が認められ、天才野球少女として高校野球の選手として注目されてきたスイン。
しかし、卒業を控え夢のプロ球団に彼女が指名されることはなかった。
どうしてもプロになりたいスインはプロテストに申し込むが、女子というだけで相手にされない。
裕福でない家庭ゆえ、母親は諦めて就職しろとうるさい。
監督も趣味で野球をすれば? と言うし、スインは四面楚歌の中一人黙々とプロテストのための練習を重ねる。
そんな姿を新任のコーチは苦々しく見つめていた。
彼自身もプロになりたくてなれなかった過去を持ち、今は妻子からも見放され傷心の日々だった。
しかし、スインの固い決心と言葉に動かされ、プロテストに合格するための秘策を思いつき、彼女とトレーニングを開始する……。

野球少女

 

「私の未来は誰にも分からない」!
スインの直球の言葉に頭を殴られた!

何があろうと絶対に諦めないスイン。
しかし、スインにとって良いことは全然起こらず、味方もおらず、次々問題が起こり、壁も強固でもう、ため息の前半。
しかし、スインは負けないどころかより強くなっていく。
「お前は野球選手にはなれない!」と言い放つコーチをキッと睨み「コーチは私の未来が分かるんですか? 私にも分からない未来が? 私の未来は誰にも分からない!」と叫ぶシーンに頭を殴られたような気がした。
そして涙がほとばしった! コーチも同じで「うっ」とひるむ。
なんて直球で胸にドストライクな言葉! でも、その通りだ。
スインが正しい!

他にも「野球は誰にでも出来る。女性か男性かは長所でも短所でもない」「短所は変わらない。長所を伸ばすんだ」など心に刺さる言葉が随所に出てくる。
「女かあ」とか「女だからなあ」という言葉や無言の圧力を私も含め女性はどれだけ受けてきたことか。
本作は女性を取り巻く社会の成り立ちをリアルに描き、それに異を唱え変えていく強い精神の人間を描いた作品である。
スインがどれだけ野球部に女子として一人入って大変だったか、闘ってきたか、針のむしろで頑張ってきた様子を幼馴染の少年がコーチに明かすシーンも涙涙だ。
それだけどれだけ女というだけで彼女が耐えてきたか……うっく。
悔しい! その悔しい私たち観客の想いはスインが大ホームランでかっとばしてくれる。
しかし、それは血の滲むような過程があってのヒットなのだ。

野球少女

 

本気でその道に進むと決めたなら
世界は全力で道を空けてくれる!

「本人が本気でその道に行きたいと思えば、世界は道を空けてくれる。人だけじゃなくて物も」。
私の好きな言葉だ。
まさにスインの道は開けようとするのだが、ここが韓国映画。
最後まで転転が続き、なかなかうまく行かないのはヤキモキさせられて最高に面白い!!
予定調和に行かせないのが巧妙なのだ。

スインを演じたイ・ジュヨンは40日間の特訓でスタントなしで野球シーンを全て自分自身で演じたそう。
小柄で細い彼女だが、切れのある投球シーンは迫力満点でかっこいい!
強情そうな面構えもスイン役にピッタリで演技は共感の嵐だった。
また、母親役のヨム・ヘランも素晴らしい。
スインとの言い合いのシーンや、プロテストを見守るシーンなど繊細な演技で上手すぎる!
スインの友人や幼馴染の描写など脚本の上手さにも驚愕だが、なんでこんな脚本書けるかな? とほんと毎度韓国映画の巧さとその業界の層の厚さには感心させられる。
日本映画完全に負けてるよ。どこで負けちゃったんだろ? それを考察するのはまたの機会にして。
何よりも本作で、誰にも分からない自分の未来を力強く切り開いて生きていくことの大切さを思い出して欲しい。女であっても、男であっても。
今、世界は激動期に入っているので、より切り開いて世の中を動かしていくことが必要でやり易くなっているから!
私も頑張るぞ!!

 

野球少女

 

監督・脚本 チェ・ユンテ
出演 イ・ジュヨン イ・ジュニョク ヨム・ヘラン ソン・ヨンギュ クァク・ドンヨン
チュ・ヘウン

※105分
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※2021年3月5日(金)
大阪ステーションシティシネマ
OSシネマズミント神戸
TOHOシネマズ二条 他全国ロードショー

 

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