一宮千桃のセンスアップ☆シネマレビューPART.207 「リチャード・ジュエル」

リチャードジュエル

平和を願う善良な男が犯人にされる
無実を勝ち取る格闘を描く感動問題作!!

観ながら腹立たしい気分になった。イライラハラハラ。
そしてなんで善良な人がこういう目に遭うのか? 毎度考えてしまう。

ホ・オポノポノによると、全ては自分の中に問題はある。
それをクリーニングすることだと言う。
これに則するとリチャード自身の中に問題があることになる。
う~ん。そうかもしれない、と思う部分もありながら本作を分析した。

実話である。1996年のアトランタ。
折りしもアトランタ・オリンピック開催中の事件だ。
コンサートが行われていた公園で警備員のリチャード・ジュエルは不審物をベンチの下に見つける。
爆発物だと分かり彼は観客に伝え、結果多くの命を救う。
一躍英雄になった彼だが、3日後にはFBIに容疑者と見られていることが世界中に知れ渡り、彼の人生は急転直下。
犯人にされそうになる。
リチャードは旧知の弁護士と無実を晴らそうとFBIと戦おうとするのだが……。

リチャードジュエル

 

FBIの愚かしさを衝くクライマックス
リチャードの言葉が胸を打つ!

第一発見者は犯人であることが少なくないが、FBIはなんの根拠も証拠もなくリチャードを犯人と決め付ける。
そして、彼が犯人であることを前提で全て事を進めようとする。
その強引な力技には驚愕。

FBIの情報を掴み、自身のスクープのためにリチャード犯人か!? の記事を裏を取らずに特ダネとして載せる新聞の女性記者の行動も驚愕。
リチャードが過去に偏執的な言動をしたとか、太っているとか、低収入の母子家庭とか、そんなことが理由になって「犯人」に違いない! なのである。
リチャードはまるで生贄状態。

その疑惑を晴らしていく過程が見所でもあるのだが、クリント・イーストウッド監督は巧いんだわ。リチャードはFBIの巧緻な作戦に何度もハマリそうになる。
不利なことが次々出てきて、もう犯人にされちゃうよー! とこちらをハラハラヤキモキさせる。
しかも、ぽっちゃりおっとりしたリチャードはあんまり自分の状況を深刻に考えてない風で、怒りも出さず、ユーモアも忘れない。
おいおい、大丈夫か? と思わせるのだ。
しかし、あまりのFBIの仕打ちにリチャードもついに本気を出す。
そのクライマックスシーンは本作のテーマでもあり、感動的だ。

リチャードジュエル

 

いつでも私たちは非情な一般大衆となる
自戒を込めてリチャードのこと忘れない

マスコミやFBI(政府)、一般大衆の恐ろしさはもちろんのこと、こんなことは今も世界中で起きていることだ。
なぜ、何度も起きるのか? 我々はなにも学んでいないから。
思い込みの恐ろしさ、愚かしさ。
自戒を込めて本作の展開を忘れないようにしたい。

リチャードは身の潔白が証明されたにも関わらず、未だに「アトランタ・オリンピック爆弾テロ犯人」として一般大衆に語られているという。
一度そんな事件が起きると人々は容易に記憶の修正をしない。
しかし、リチャードはドラマチックな人生を送って楽しかったのでは? とも思う。
彼の人生は多くの人の考えを良くも悪くも変えたのだ。
人の命もたくさん救った。今回映画化にもなり、メッセージは私たちに投げられた。
そういう意味では上々の人生だ。
また、ホ・オポノポノ的に言うと、彼の中の問題はこの事件でクリーニングされたのではないかと私は思う。
深いメッセージが込められてはいるが、楽しめる、一級娯楽作である。

 

監督 クリント・イーストウッド
脚本 ビリー・レイ
原案 マリー・ブレナー
出演 ポール・ウォルター・ハウザー サム・ロックウェル キャシー・ベイツ
ジョン・ハム オリビア・ワイルド ニナ・アリアンダ イアン・ゴメス

※131分
Ⓒ2019 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
※1月17日(金)から全国ロードショー

 

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