一宮千桃のセンスアップ☆シネマレビューPART.204 「フォードvsフェラーリ」

ルマン

ル・マンレースに賭ける男たちの
熱いドラマと選択にむせび泣く大感動作!!

「栄光のル・マン」という映画が昔あって、観てないんだけどル・マンてレースがあるんだな、とは漠と知っていたがさして車に興味もなく現在。

本作で初めてル・マン24時間レースが車業界でどんな意味を持つレースだったのか、またどんな過酷なものか、初めて知った。
そして、胸震えた。男たちのドラマに泣けた。
クライマックスは手に汗握り、息を詰めて身を乗り出してレースを見守った。
そして、なんともやり切れない歯がゆい気持ちになった。
その気持ちをなだめるために私は霊的なものに思いを馳せるしかなかった。
そうして、私はレーサーの気持ちを察して自分を納得させたのである。
でないと、(表面だけ観ると)無念すぎる。
実話なだけに。

1960年代。
当時ル・マン24時間耐久レースで頂点に立っていたフェラーリ社の買収に失敗したフォード・モーター社は、レースに参戦して優勝を狙っていた。
フェラーリの鼻を明かすためにも最強の車にレーサーが必要だった。
そこでかつてのレーサーで今はカー・デザイナーのキャロル・シェルビーに白羽の矢が立つ。
シェルビーは友人でもある天才レーサーのケン・マイルズと共にレースに参戦しようとする。
しかし、いつも言いたい放題の言動で問題を起こすケンの素行にフォードの副社長は難色を示し、ケンをなんとか排除しようとするのだが……。

ルマン

 

ケンのとった選択は是か否か?
ハラハラドキドキヤキモキ煩悶にもだえる

自分の思ったことをそのまま言い、思うままに行動するケン。
彼の協調性のなさは周りと軋轢を生むのだが、レースの腕はピカ1。
誰もが認める天才肌だ。
でも、何人ものレーサーが交代で24時間走り続けるレースでは皆との協力や信頼は不可避だ。
また、レースも車も、会社がお金を出して作らせて参戦させているのだ。
個人のレースではない。会社の意向は聞かなければならない。
そこをシェルビーと副社長、シェルビーとケンというバトルがあり、それがもうイライラハラハラヤキモキさせられて「しかたないよね」「えーっその選択って」「そうするわけ? なんでー!!」と観ながら心の中で煩悶につぐ煩悶。頭を抱えそうになった。
しかも、クライマックスになってケンに難題が!! いい加減にせんか! この副社長とキレそうになった。

 

魂がこれが一番面白くて成長できるって
選んだドラマチックな人生なんだね

そしてケンの辿った運命に泣きながら、彼の魂はこれが面白いだろうって、これが一番成長できるだろうって選んだんだよね、と自分に納得させながらも私の涙は止まらなかった。
こんなドラマチックな人生、ずるいよ。カッコよすぎ。

レースシーンのど迫力。ル・マンレースの巨大セット。役者の迫真のレース演技。
フォードという会社の事情。そしてシェルビーとケンの友情。ラスト。
どれもドラマとしてエンターテインメントとして興味深く楽しませてくれる。
車、レースに賭ける男たちの情熱に圧倒される。本当にその姿に圧倒された。
ケンを演じたクリスチャン・ベイル。固くへの字に結んだ薄い唇がケンの人生を物語っていた。
いい役者だ。素晴らしかった。
シェルビーを演じたマット・デイモンとの相性も抜群だった。
快作です。

 

ルマン

 

監督 ジェームズ・マンゴールド
脚本 ジェズ・バターワース&ジョン=ヘンリー・バターワースandジェイソン・ケラー
出演 マット・デイモン クリスチャン・ベイル ジョン・バーンサル
カトリーナ・バルフ トレイシー・レッツ ジョシュ・ルーカス ノア・ジュプ
※153分
©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

※1月10日(金)からTOHOシネマズ梅田 ほか全国ロードショー

 

《一宮千桃さんの記事一覧はコチラ》
http://www.el-aura.com/writer/ichimiyasentou/?c=26311