一宮千桃のセンスアップ☆シネマレビューPART.199 「グレタ」

グレタ

最怖中年女サイコパス登場!
怖すぎて「ひぃっ」連発、息のみまくり!

むちゃくちゃ怖い映画でした。
ホラーとかスリラーとかあまり観ないようにしてるんだけど、久々にこういう映画を観ると、「確かに面白い!」と確認させられる。

低級なものではなく、優れたスリラー映画は夢中にさせてくれる。
そして、人に言いたくなる。
アクション映画よりスリラーの方が人は興奮するのではないかと思う。
怖いものは、どうしても惹かれるという人間の本能があるように思う。

さて、本作。始まりから心惹かれる。

地下鉄。
そのホームを女が歩いているのをカメラが後ろから捉える。
次に地下鉄の椅子に置かれた高級バッグのカット。
また女の後姿。
次にはレストランで接客する若い女のカット。
そしてまたホームを歩く女の後姿の映像。
ずっと女の後姿が続くと思っていると、女はふいっと横にそれてカメラから姿を消す。
次は先ほどの若い女が地下鉄に乗って本を読んでいる。
ふと顔を上げると椅子に置き忘れられたバッグが目に入る。
女は落し物かしら? とそのバッグを手にとり地下鉄の事務所に持って行くが閉まっている。
女はバッグに持ち主のIDカードがあったので自分で届けようと帰宅する。

ここまでセリフ一切なし。
なんだ、あのバッグは!? とぐっと見入ってしまう。
そのバッグを持ち主のグレタという中年女に届けたフランシスは、彼女に亡くなった母親の面影を見て親しく付き合うようになる。
しかし、彼女の家の戸棚にいくつものあのバッグを発見して……!

グレタ

 

演技派、イザベル・ユペールの怪演に夢中
クロエの怯え演技に共感しきり!

グレタの素性と狂気が次々あらわになり、追い詰められていくフランシスの怯えと恐怖がこちらにも乗り移って鳥肌全開!
グレタの神出鬼没のストーカーぶりにも「ひいっ」と梅図かずお先生の漫画のひとコマみたいに息を呑んでしまった(笑)。
グレタ、一体何者!? 怖すぎる!
グレタを演じるフランスの超演技派女優イザベル・ユペールが、また無表情でサイコ女を楽しげにやってて唖然。
踊ってます(笑)。
彼女は66歳ながら、果敢に「エッ?」という役にも挑戦し続けていて、韓国やフィリピンの監督とも積極的に仕事をしているという攻めの姿勢がすっばらしい女優。
俄然見習いたいけど、顔、怖すぎる。
首の皺まで怖い。服かて怖い。
どうぞ、このまま色物の方向には行かず、演技派を極めて欲しい……。

対してフランシス役のクロエ・グレース・モレッツ。
彼女も「キック・アス」でブレイク後、キワモノっぽい映画に沢山出てきただけに、今回の表情豊かな怯え演技はずっぱまりだ。
最近肩幅とかごつくなって健康優良児みたいだが、そんなピチピチギャルが変態女の餌食になる。スリル満点!
彼女も演技派なので、クロエによってボロボロにされる演技はまたも梅図かずお先生の「ギャー!」の絵柄で。

グレタ

 

人間はすぐ悪魔に魅入られる生き物
明るく、心を強く生きていきましょ!

ラストまで怖いが、監督が「クライング・ゲーム」(92年)のニール・ジョーダン。
面白いはずだ。
お気に入りの俳優スティーヴン・レイもちょい出てるけど、悲惨な役で気の毒ー!! (歳とりましたね)。
監督の勝手知ったる地元のアイルランドはダブリンで大半を撮影(舞台はニューヨークなのに)したそうで、なんか陰鬱な空気感はそのせいか、独特な雰囲気をかもし出した映像となっている。

さて、サイコスリラーがなんで面白いのか?
それは「解らない」から。
グレタの行動、わからんっ。だから、怖い。
人は解らないものに恐怖を抱く。
でも、彼女のようなサイコな人間はいるわけで人間理解の一助にはなる。
たぶん、悪魔が手助けしてるんだろうけど……。
悪魔に取り付かれないように明るく、心を強く、生きたいものである。

 

監督・脚本 ニール・ジョーダン
脚本 レイ・ライト
出演 イザベル・ユペール クロエ・グレース・モレッツ マイカ・モンロー
スティーヴン・レイ コルム・フィオール
※98分
© Widow Movie, LLC and Showbox 2018. All Rights Reserved.
配給 東北新社 STAR CHANNEL MOVIES
※11月8日(金)~ 大阪ステーションシティシネマ、京都シネマ、シネ・リーブル神戸

 

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