一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.170 「search/サーチ」

全編PC画面の中で展開する
驚愕サスペンス・スリラーの傑作!

この映画すごい! 斬新! 映画全編がPCの画面だけで展開されるのだ!

そんなこと、出来るんですね。いや、出来てるし。
PCのみならず、電気関係がさっぱりな私としては、目からうろこ。
PCのあらゆる機能を駆使しての行方不明になった娘を探索していく父親に感心しきり。
すごいなあーっ、現代人だなあーっとただただ驚くばかり。
いや、この映画を作った監督のアイデアに快哉である。
しかも本作はアイデアだけじゃなくて、物語的にも巧緻で、ラストは感動してうっくと泣きそうになったくらい。
ものすごいカタルシスを感じられるラストは尋常じゃない才能を感じさせた。

さて、お話を少し。
3年前に妻を亡くし、今は高校生の娘マーゴットとふたり暮らしのデビッド。
しかし、ある朝突然娘と連絡が取れなくなる。

昨夜友人の家で勉強会というメッセージを聞いたのが最後、娘は忽然と姿を消す。
デビッドはSNSや電話で娘の行方を捜すが、そこで分かってきたのはデビッドの知らないマーゴットの姿だった。
ランチはいつも一人、ピアノのレッスンは半年前に止めた、キャンプにも参加していない、仲良しの友人は一人もいない。
愕然とするデビッド。
これは、誘拐なのか、家出なのか、警察の捜査が始まるが……。

 

父親の娘への絶対の愛に感動!
どんでん返しの連続に鳥肌たちまくり

この家族は韓国系みたいで、韓国の父親と娘の関係ってものすごく蜜で、恋人同士みたいなのだが、この父娘も母親を亡くしていることもあり、かなり父親は娘に過干渉の様子。
それがうまくストーリーに反映してるのだが、父親の娘への絶大な愛と娘を見つけるゾ!! という執念には感動させられた。

途中でやっぱこいつが犯人か! と思わせられたり、実は娘は犯罪者だったんだな、と思わせられたり、フックやミスリードがたくさんあって、失踪の理由がさっぱり分からない。
父親はインスタグラム、フェイスブック、ツイッター、またあらゆるサイトを当たりまくり、どんどん核心に近づいていく。
その手腕の素晴らしいこと。
PCを使った一流探偵である。
でも、だんだん観てるこちらは、もう絶対、娘死んでるよなあーっと諦めモードになってくる。
したらば、なぜ殺された? 犯人は? と頭フル回転で推理。
それらの(私の)推理は全て裏切られた。
そして、どんでん返しにつぐ、どんでん返し。
そう来たかあー!! 驚愕! 感動! ちょっと鳥肌たっちゃったよ。

 

久々に面白い映画観たあー! と叫ぶ
実は面白いだけじゃなくて、怖い

もう、気持ちが上がり下がり上がりで気持ち良かったのなんの。
久々に「おっもしろい映画観たあー!!」と叫びそうになった。
泣きそうになったシーンは詳しく言えないが、監督のエンタメを作る姿勢のようなものが感じられて、このクライマックスシーンは私の中で好感度大だ。
父親の娘への愛は最強なんだ、とだけ書いておく。

しかし、全編PC画面なので目がチカチカして見終わって痛くなってしまったのだけはまいった。
それだけ集中して瞬きせずに観ていたというのもあると思うが。
現代ならではのアイデア勝利の作品だが、PCひとつでなんでも出来ちゃうということは、とても便利だけど、逆にとても怖いことだというのも忘れてはならない。
でも、文句なくお・も・し・ろ・い! ことは確か。

監督・脚本 アニーシュ・チャガンティ
脚本 セブ・オハニオン
出演 ジョン・チョー デブラ・メッシング ミシェル・ラー ジョセフ・リー

※102分
※10/26(金)公開
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

 

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