一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.167 「500ページの夢の束」

あきらめない、初志貫徹の姿に涙
自閉症少女の初めての大冒険!

私のいとこの娘が自閉症だ。
生まれてからは普通だったのだが、幼少の頃に祖母のお葬式に行き、そこで火がついたように泣き出して、その日を境に内に籠るようになり、自閉症と判断されたそうだ。

今は作業所に通い小物等を作って幾ばくかの収入を得ている。
今は二十代だ。
自閉症と言ってもいろんなタイプがあるのだろう。
「レインマン」のように特殊な才能を開花する人は少なくない。
自閉症の人のアートも近年注目されている。
有名な霊能者によると、自閉症とか、精神病の類はほぼ霊障らしいが、そうなのだろうか?
私は前世も関係あると思うのだが、解らない部分も多い。
ただ、思うに、それもその人の修行なのだとは思う。

本作は、自閉症の少女が大冒険をする話である。
主人公のウェンディは自閉症を抱えていると言うが、軽度なのだろう。
自立支援ホームで暮らしていて、規則正しい生活を自分のルールでこなし、アルバイトもしている。
自閉症の人は強いこだわりがあると聞いたことがある。
ウェンディも時間通りに行動することを第一としている。
そんな彼女は「スター・トレック」の大ファンで、何を聞かれても答えられる「スター・トレック」博士だ。
シリーズ誕生50周年を記念しての脚本コンテストが開催されることになり、ウェンディは大作を書き上げる。
しかし、郵便では締め切りに間に合わないことを知ったウェンディはロサンゼルスのパラマウントまで届けようとする。
バスに乗ったこともないウェンディの旅が始まる!

 

外の世界は試練を与えながら
いつでも、必ずウェンディの味方

なんとか切符を買ってバスに乗ったものの、ついてきた愛犬のせいでバスを降ろされたウェンディはなんと、徒歩でロスに向かうのだ。
その後も簡単に騙されて携帯や財布を盗られたり、夜間に外で寝たりと危なっかしいのなんの。
ウェンディを探す施設員や姉から逃げてとにかく締め切りまでに間に合うのかとハラハラ逃走劇は続く。

ウェンディは初めての外の世界に酷い目にあいながら、とにかく目標に猪突猛進。
わき目もふらないその姿に私は夢中になった。
そして、クライマックス! ええっの展開なのだが、ウェンディの賢さに大拍手! で、気づいたら私は泣いていた。
自閉症とかなんとか関係なく、一人の人間が困難を克服しながら初心貫徹する姿は感動しかないのである。

 

勇気を出して行動しよう!
そしたら、新しい道が、新しい学びが!

ウェンディ役を、かつて天才子役だったダコタ・ファニングが大人になって見事に演じている。
ピュアなブルーの瞳は相変わらず。
これから、たくさんの作品でまた素晴らしい演技を魅せてくれることだろう。

自閉症であっても、この世に生まれてきた限り、生きなくてはならない。
そして、自分の魂を磨かなくてはならない。
それには、勇気を出して行動するしかない。
そのことの大切さを改めて教えてくれた一作。

 

監督 ベン・リューイン
脚本 マイケル・ゴラムコ
出演 ダコタ・ファニング トニ・コレット アリス・イヴ リヴァー・アレクサンダー
マイケル・スタール=デヴィッド ジェシカ・ローテ ロビン・ワイガート
配給:キノフィルムズ
©2016 PSB Film LLC

※93分
※9月7日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー

 

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