令和5年5月メッセージ — 絶望的な怒りや悲しみという“魔”と戦い続ける私たちは、空を悠然と泳ぐ鯉のぼりに“歯を持たない”という真の強さを学ぶ

5月

首相を狙ったテロ、女子高生飛び降り自殺と命の尊重が軽んじられる空気の中で — 五黄土星5月は、誰もが“すぐそこにある危機”に細心の注意を払う時

5月を迎えました。入学や就職、人事異動等で新しい環境に身を投じた方も多くいらっしゃったかと思いますが、そろそろ慣れてきた頃でしょうか。先月は全国で統一地方選が行われましたが、その選挙戦の最中、和歌山を訪れた岸田総理が演説会場で爆発物を投げつけられるという事件が起こりました。昨年の安倍元総理暗殺が記憶に新しい中で、再びの政府要人を狙ったテロの発生に、戦慄を覚えた方も多かったことでしょう。犯人は選挙制度への不満があったと言われていますが、長引く不況とコロナ禍で、人心が荒廃し、日本人全体の波動が落ちているのを感じます。

千葉の松戸では、2人の女子高生がマンションの屋上から手を繋いで飛び降り自殺をするという、痛ましい事件もありました。亡くなったそのうちの一人は、ある著名男性Youtuberと交際し、妊娠までしていたそうです。全て、ネットを媒介として知りあった、現代だからこそ構築された人間関係の中で起きた悲劇ですが、人間同士が繋がりやすい時代だからこそ、“正”も“負”も引き寄せやすいと時代とも言えます。

かつてこのTRINITY紙上でも自殺について言及したことがありました(『なぜ、自殺をしてはいけないかという根源的な命題について』が、自分の命は、自分一人のものではありません。また同様に、他者の命も、尊重しなければなりません。心の貧しい人が増えています。どうか皆が、声もなく心に忍び寄る“魔”を振り払い、強い“光”を自ら放ち正しい道を進まれることを、願ってやみません。

立夏を迎える5月6日、月運が六白金星から五黄土星に移ります。五黄の“黄”は黄金、黄帝という言葉がある通り、気高く尊い、崇敬、崇拝といった象意があります。
九星で最も、周囲に多大な影響を与える星です。人に例えれば支配者、王、首相といった世の中心人物、一方で犯罪組織の首領、盗人、浮浪者といった象意があります。また、強欲、戦争、崩壊、破産、自然災害(地震、台風、暴風雨)といった意味もあります。

また、交通標識では、黄色は“危険”を知らせる色として知られています。先月はスーダンでの軍と反政府勢力の内戦、日本では選挙演説中の岸田総理を狙ったテロ未遂事件がありましたが、今月も世界では指導者層に対して、なんらかの攻撃が起こるかもしれません。19日より広島でG7サミットが予定されていますが、何事もなく終了することを願いたいものです。また、市井での大規模な強盗、傷害犯罪の発生や自然災害等の可能性がある点にも、注意したいところです。

5月の月運の干支は、“丁巳(ひのとみ)”。夏に燃える、祭壇の炎のイメージのような月です。今月は、誰もがクリエイティブに、新しい発想で物事を進めてゆく月です。特技や才能が花開き、SNS等で情報発信をしている人は動画や何気ないツイートなどの投稿がバズるかもしれません。仕事に於いては完璧主義で、やる気に満ち、高い実績を挙げて周囲からも評価を受けるでしょう。性格面では、やや頑固で融通が利かなくなる傾向があるので、その点は注意しましょう。

二十八宿は“柳宿”。今月は、会社の設立登記や開業、移転、家の新築に適した月です。また、今月はヨガや滝行、整体などの精神鍛錬や身体のリフレッシュをすると、運が上がりそうです。また、知人から持ち込まれていた、気の進まない案件なども、キッパリ断るのには良い月と言えるでしょう。

重要な契約や勝負事に関しては、大安の4日、10日、16日、21日、27日、一粒万倍日の9日、10日、21日、22日に設定すると良いでしょう。デートや告白、プロポーズを考えている方も、上記の日を選びましょう。なお、今月の暗剣殺はありませんので、方位に障りはありません。有給休暇やゴールデンウィークを利用し、帰省や旅行をするのも良いでしょう。

日食/月食以降に激変する社会と個人の周囲の世界 — 目の前で崩壊してゆく景色に戦慄を覚えつつ、魂で結ばれた仲間の支えの中で“生きやすさ”の追求を

西洋占星術の観点で言えば、立夏を迎える6日2時34分に蠍座で満月を迎えます(フラワームーン)。この満月は、半影月食となります。この時期は、これまで価値を置いていた基準、視点の抜本的な見直し、新しいパラダイムに移行するための“破壊”が起こるタイミングと言えます。先月の繰り返しになりますが、情熱と欲望の象徴・火星は5//20まで蟹座に滞在しています。冥王星の水瓶座入りと相俟って、これまで覆われていた政治の闇の露見、企業犯罪、著名人の悪事の発覚による失脚など、大衆が怒りを爆発させる状況が世界的に起こる状況が強まっています。スーダンの内戦やフランスの大規模なデモ等、世界的にも、これまで大きな影響力を持ってきた権威、権力が大きく揺らぎ、下剋上のような雰囲気が漂い始めるでしょう。

一方で個人に於いては、魂で結ばれたお相手と交際に向け関係が深まったり、信頼関係を醸成する時期です。7日には、金星が蟹座入り。今月は、新しく出逢った人よりも、家族同然のようにご縁の深い旧友、仲間との交流に、ツキが巡ってくる時です。ずっと友人関係だった男女が、お互いを異性として意識し恋人になったりと、喜ばしい動きも出てくるでしょう。15日は水星が順行に転じ、17日は木星が牡牛座入り。ここから1年間は、自分の特技や強みなど、アドバンテージを活かして、外にアピールすることで才能を開花させる時期です。美しいもの、質の良いものに触れ、幸福感を噛みしめながら、自分の夢を実現してゆく時間となるでしょう。そして20日0時53分には、牡牛座新月を迎えます。この新月では、やはり“豊かさ”に焦点が当たります。誰と一緒にいれば愛を感じるか、豊かになれるか、を考える時です。金銭面も含め、未来に向けて心配のない、居心地の良い場所を見つけるタイミングと言えそうです。しっかりと本質を見抜き、間違いのない選択をしてゆきましょう。

今月は、“こどもの日”がある月です。電車に乗っていると、住宅街で鮮やかな鯉のぼりが風に泳いでいるのを、車窓から見かけます。私が好きな絵師の一人である、片岡鶴太郎(1953~)さんの作品に、『虹鯉』という名画があります。色とりどりの恰幅の良い鯉が、大きく口を空けながら、その生命力の強さを観る者に提示する、味わい深い一作です。


昨年に続き、今年も当月は、その『虹鯉』を発表した際の、鶴太郎さんの言葉を引きましょう。

二百三十年以上生きた鯉がいた。

緋鯉の花子。鯉は長寿である。

それに肖(あやか)り、男子が生まれると鯉のぼりを上げ、

元気で逞(たくま)しくあることを願った。

鯉は歯を持たない。

仲間たちと争うことを嫌った。

どんな状況下でも、その環境に順応し、

健(したた)かに生き抜く生命力を持っている。

しかし、一旦俎板(まないた)に載せ、目を塞ぐと決心をする。

その潔さ、その生き方に私は敬服致しているのである。

幾多の生き物たちが、

挑んでもなしえなかった登竜門への滝を、

この鯉だけが登りきった。

鯉とはそれ程に気高く、

崇高な魂を持ったお方様なのである。

鯉の生命力の強さを説いた、 深く首肯する一文です。

昨年そして今年と、日本では総理大臣を狙ったテロが連続して起こりました。社会では経済格差が激しくなり、また世代間の対立も深まり、富裕層の老人を狙った若者による強盗が多発するなど、人心の荒廃がより一層、進んでいます。3年間に及んだコロナ禍による種々の影響は、多くの日本人の心に怒りと悲しみという“魔”を呼び寄せ、どうにもならない厳しい状況に歯ぎしりをしながら、“魔”を暗闇の中で、激しくも静かに育ててしまいました。そして大きな怪物となった“魔”が外に向かった場合は他者を傷つける犯罪となり、内に向いた場合は精神疾患や自殺という、悲しい結果を迎えてしまいます。

日本人は元来、“和”の精神で、争いを極力避け、互いを理解し合い、助け合ってきた民族です。そして、“歯をもたないという強さ”を選んだ者には、必ず、生命の滝を登り切る、崇高な魂が備わるのです。心に迫りくる“魔”の誘いを断ち切り、決して他者も自分も傷つけない、“希望を選ぶ鯉”と、なってください。国内外の社会情勢は変わらず厳しい状況が続きますが、そのような中に在っても、『TRINITY』の読者の皆様におかれては、どうか心穏やかに、正しい道を歩まれる5月となりますよう、祈念しております。



 

(了)

 

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