第65回★美しい花々が語る民話や神話
イギリスで美しく優雅に咲き誇る色とりどりの花々。
今回はそんな花にまつわる民話や神話を探ってみたいと思います。
まずはスッと伸びた茎の上で可憐な姿をみせる芍薬(シャクヤク)。
日本でも古くから親しまれている芍薬は「立てば芍薬、座れば牡丹……」と、その美しい姿を女性の姿に例えられていますね。
昔から伝わるイギリス民話では、恥ずかしがり屋の妖精が芍薬に隠れ、花も恥じらって赤くなったと言われているそうです。
そんな民話からか芍薬の花言葉は「Bashfulness(恥じらい、はにかみ)」なのだそうです。
また芍薬はギリシャ神話とも繋がりがあるのだとか。
医薬の神Paeon(ペオン)は女神レトが神ゼウスの子を出産する際、芍薬を使い激しい陣痛を和らげたのだとか。
けれどこの活躍に嫉妬したアスクレピオスによってペオンは命を落としてしまいます。
女神レトはそんな哀れなペオンを芍薬に生まれ変わらせたそうです。
もうひとつ、日本語でヒエンソウ、英語ではDelphinium(デルフィニウム)と呼ばれる華やかな花も、ギリシャ神話と深い繋がりを持っています。
その昔、オルニトプスという青年が海で溺れかけた際イルカたちに助けられました。
その後オルニトプスとイルカは毎日遊ぶほど仲が良くなったのですが、漁師たちがイルカを捕まえる計画を企てます。
それを知ったオルニトプスはイルカたちを逃し、怒った漁師たちによってオルニトプスは海に投げ出されてしまいます。
悲しむイルカたちは神に頼んで心優しいオルニトプスを花に変えたのだとか。
その花がイルカを意味するDelphisを語源に持つ花Delphinium(デルフィニウム)と言われています。
他にもギリシャ神話でアフロディーテが流した涙から咲いたと言われる花「アネモネ」など、神話とつながりのある花々はたくさん存在しています。
美しい花々が咲き誇るこの季節、花にまつわる神話に想いを馳せてみませんか?
凛とした姿の白い花「オランダカイウ(Zantedeschia)」。古代ギリシャ語の「美しい」を意味するカロスが語源と言われています。また修道女の襟(collar)に似ているから、この名になったとの説もあるそうです。
華やかな香りが魅力的な花ゼラニウム(Geranium)。ヨーロッパでは昔から「虫除け」として、玄関や庭先でゼラニウムを育てている人も多いのだとか。そんな由来もあってかゼラニウムは「魔除け」の意味もあるそうです。
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