幸せのために、利他的な行動がいいとされる理由とは?~誰かに役立つことは、自分の得を求めるより、その人を幸福にする~

藤森緑

一般的に人は、「自分が得をすると、幸せになれる」と考えがちです。例えば自分がおごるより、誰かからおごってもらった方が金銭的に得をするため、幸福な気分になれるだろう……と想像する人が多いでしょう。しかし実は、決してそうとは言い切れないのです。

世界中で行われている、ある実験

海外や国内で、「実際に利他的な行動を起こすと、幸福感を味わえるかどうか」を調べる実験が、いくつも行われてきました。その多くの結果によると、「自分が得するために動くよりも、誰かのために動いた方が、強い幸福感を感じる」ということが証明されているのです。

例えば、「500円を与えるので、それを自分のために使うか、もしくは自分が選んだ人や団体に寄付するかが、自動的に選ばされる」という実験を行ったと仮定します。これに似た実験が、実際に多く行われてきました。

「500円を自分のために使った群」と、「500円を選んだところに寄付した群」に分け、その後の幸福度を調べたところ、圧倒的に「寄付した群」の幸福度が高くなっていたのです。事前に「現在、幸せを感じていない」と回答していた人も、強制的に寄付する方を選ばされることにより、その後の幸福感が高まった……という結果が出たのでした。

藤森緑


例えば、今日の食べるものすらなく、500円が喉から手が出るほど欲しい!……という場合であれば、500円をもらって自分のために使えることが、深い喜びになるかもしれません。

しかし、金銭的にそこそこ満たされている人であれば、500円というのはそれほど豊かに使える額ではないはずです。外食をするにしても、コーヒー1杯でなくなってしまう金額です。そのため自分のためにもらった500円を使っても、幸福感や満足感はほんの一瞬だけで、あっという間に消え去ってしまうでしょう。

人のためになった行動は、長く記憶に残る

ところが、500円を自分の好きなところに寄付をした場合、自分自身は全く得をしていないにも関わらず、あとあと長く幸福を感じるというのです。「自分の行動が、人のために役立った」「自分はいいことをした」と感じる行いは、自分の心の中に長く残ります そして思い出しては繰り返し、幸福感を味わうことができます。 

例えば、美味しいお菓子を食べたという一時的な物理的快楽より、そうした精神的幸福感の方が、深く心に刻まれます。そのため、自分のために500円を使った人より、500円を寄付した人の方が、幸福感が高まった……という結果となったのでした。

藤森緑

このような実験から、人は誰かのために何かをすることにより、「自分は幸福である」と実感できるといえそうです。特に自発的な行動であれば、なおさらでしょう。

実際に行動して、幸福感を味わってみよう

不安定な経済からくる金銭的不安から、少額のお金でも人のために使うこと、ましてや寄付するなんてとんでもない! と思う人が、増えているように感じます。

決して多額ではなく、ほんの数百円でも構いません。本当に困っている人や苦しんでいる人達のために、少しお金、もしくは自分の時間を回すことに、意識を向けてみてください。そうすることにより、「利他的な行いは、自分の幸せにつながる」ということに、すぐに気がつくはずです。







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