私は昔「椅子」コレクターでした。
ちょっと素敵な椅子をみるとすぐに買っていました。
背もたれが大きな籐の椅子や
ちょっと変わったアイアンの椅子。
飛騨の職人が作った無垢材でできたロッキングチェア。
結果、当時住んでいた東京の社宅マンションには様々な椅子が置かれることになりました。
そんなある日、夫と吉祥寺で買い物をしていた私は雑貨屋でまたおしゃれな椅子を見つけます。
すごく珍しい形の赤い小さな椅子で、たしかドイツ製だったか、フランス製だったか、結構高価なものでした。
その椅子を欲しがる私に夫が「一体どこに置くの?」とあきれた様子で聞きました。
その一言で私はハッと気が付いたのです。
私が欲しかったのは椅子ではなく「居場所」だったと。
私の父はインテリでしたがお酒を飲むと人が変わるタイプの人で、いつも家の中がピリピリとしていました。
母は仕事が忙しく、小さい時から私は家に安全で安心できる居場所を持っていないと感じていました。
「椅子」は、そんな私の「居場所」の象徴だったのです。
居場所を確保したいという潜在的な欲求を「椅子」を持つことで満たそうとしていたのでした。
「居場所」の正体とは、「ありのままでいい(全然だめな自分でもいい)」と承認されている感覚なのではないかと思います。
私は、子どもの頃に満たされなかった、この「ありのままでいい」という承認が欲しくてずっと探していたのです。
どこかにあるはず! 誰かがくれるはず! と思いながら。
夫の一言で大きな気づきを得た私は、その後たくさんあった椅子をリサイクルショップに売りに出し、私に与えられた「家庭」というこの場所を大切に、心地よくなるように努力しようと思いました。
「私は私のままでここに居ていい」と自分に言い聞かせました。
私が探していた「居場所」は当然、椅子にはありませんでした。
「ありのままでいい」という承認をだしてくれるのは、実は自分自身です。
周囲の誰でもありません。
その場所で自分らしく生きると決め、「ありのままでいい・ダメな私でもいい」と一旦自分を認め、受け入れる事。
自分を認めて受け入れるということは、周りの人を認めて受け入れるということに繋がります。
人は自分の鏡ですから。
「居場所」は、自己承認と、周囲へのちょっとした思いやりで創られていくのです。
自己承認ほど強い基盤はありません。
なぜならば、それがゆるぎのない強固な「居場所」となり、自分の安全基地になるからです。
自分の安全基地を持つと、人にどう思われるかに揺れなくなり、人に依存しなくてもよくなり、他人と適説な距離をとれるようになります。
それが自分軸ということです。
つまり、自分軸とは自己承認により自分の中にゆるぎない「居場所」があるということなのです。
そんな安心・安全な「居場所」は、心を安定させ、さらなる自己信頼への良い循環の基礎となり、
幸福感を増す効果が絶大です。
その幸福感は、必ず次の幸福な現実を引き寄せてくれます。
今日も読んでくださいましてありがとうございます。
あなたが幸せでありますように。
さくらあくり
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