前回はチンパンジーの写真を使って、
危機的状況に置かれて心がストレスを受けた時、どうにかそのストレスを解決しようと身体が変化を起こす
ことをご説明しました。
今回はもっと話を広げていきましょう。
今度は、チンパンジーがあなたご自身だと考えてみてください。
そして天敵のチーターはあなたの上司。
常に目を光らせてあなたの仕事ぶりを逐一チェック、小さくても何かしら足りない部分を見つければ厳しく叱責してきます。
中には言いがかりだと思うような指摘もあるのですが、少しでも反論しようものならますます高圧的な態度で怒鳴られるため、あなたはただ小さくなって耐えるしかありません。
そんなことが毎日のように繰り返されるのです。
写真のチンパンジーのように実際に殺されるかも、という危険性はありませんが、とても大きな脅威に繰り返しさらされる生活。
あなたは常にビクビクしており、心の中は不安と恐怖、そして抑圧された怒りに満ちています。
すると、どんなことが起こるでしょうか。
可能性のある流れを例として挙げますね。
ストレスを抱えながら働いているうち、あなたの会社で健康診断がありました。
そこで甲状腺が大きいことを指摘され精密検査を受けるようにと指示が出たため、あなたは慌てて病院へ。
超音波検査や血液検査の結果、「甲状腺機能亢進症」と診断されます。
血液からは基準を大幅に上回る甲状腺ホルモンが検出され、過剰なホルモン産生を抑制するための内服薬を処方されることになりました。
嫌な流れですが、充分にあり得る話なのです。
ではここで、もう少し考えてみてください。
あなたの甲状腺に起きた変化のことを。
血液検査の結果だけを見ると、あなたの甲状腺は「正常でない・おかしい」ということになります。
数字としてのホルモン値が基準範囲を逸脱しているという理由で。
つまり甲状腺が正常な働きをしていない、コントロールを失って過剰にホルモンを産生している、と捉えられますね。
でも周囲環境や心の中まで含めて、トータルとしてのあなたを考えてみたらどうでしょう。
甲状腺ホルモンは、全身の細胞のエネルギー代謝を上げて活動性を高めます。
常に大きな脅威が存在する環境に身を置いていたあなた。
心が不安や恐怖でいっぱいだったあなた。
そんなあなたには、毎日を生き延びるために通常よりも多くの甲状腺ホルモンが必要だったのだ、とお気づきになりませんか?
そして甲状腺は間違っておらず、あなたの必要に応じて多量のホルモンを産生したのだ、ということも。
これが、冒頭に挙げた
危機的状況に置かれて心がストレスを受けた時、どうにかそのストレスを解決しようと身体が変化を起こす
ということです。
以前の記事で触れた「不可分」、「共時性」とも通じるところがありますよね。
それでは次の記事で、ここまでのまとめをいたしましょう。
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