免疫を高める食品選び〈4〉~腸を癒す料理オイル、ギー(精製バターオイル)~インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』vol.86

牛は本来、はるかに穏やかな性格ですが、バッファローは頑固でアグレッシブです。

インドで生活していた頃は、バッファロー(水牛)ミルクで作ったチャイをよく飲みました。
日常的に毎日2、3杯ペースでほとんど必ずといっていいほど飲んでいたので、いつも冷蔵庫にはチャイ用のバッファローミルクがストックされ、まず切らすことはありませんでした……。

市場からフレッシュなバッファローミルクを買ってきては、まず一番にすることは、加熱して一旦沸騰させること。(これをやらないと数日ですぐヨーグルトになってしまうのがインドの牛乳で、沸騰させたものを冷蔵保存すると一週間ぐらいは持ちます)

さて、ミルクを一旦沸騰させてから冷蔵保存して置くと、ミルクの上層にはこってり濃厚な生クリームの層ができあがります。
この生クリームの固まりをスプーンで掬い取り、別の小皿に移して溜めておき、ある一定の量たまるまで冷蔵庫にそのまま置いておきます。
そしてある程度の量がたまれば加熱して、簡単にギーを作ることができました。

ギーは無塩バターから乳固形分を沸騰させることによって作られる黄金色のオイルです。

(⇒無塩バターからギーを作る方法はバックナンバーVol.8をご覧下さい)

このように、ミルクひとつ買えば、チャイは飲めるしギーも作れ、あるいはパニールといったインド風カッテージチーズさえも作れました。

ひとつの材料でいろいろなものを当たり前のように作る。
そんなクリエイティビティは、インド生活から学んだことのひとつです。

このようにして、日常的にギーを使って料理することも多かったわけですが、ギーはアーユルヴェーダ薬としてもインド料理やお菓子に欠かせない、最高のオイル。

ギーは引火点が485度と、他のオイル類と比べてもはるかに高く、これが調理するために安全かつ最高のオイルのひとつであるゆえんです。

(インド時代によく使ったギー(缶入り))

 

■腸内を健康のために有益な環境に作り上げるオイル、ギー

私たちの腸は、食べたものの消化や栄養吸収同化を担う場所。
また、私たちの気分を調節する神経伝達物質が生産される場所ともいわれています。
腸は私たちの免疫を強く保つ場所でもありますが、そんな腸にとても有益な微生物・酪酸(バターに含まれる有効成分)がギーにはたっぷりと濃縮されているので、腸管と体内すべての組織を円滑にします。

インドではギーは、長い期間に渡りとても高く評価されてきた食べ物で、これは、牛の乳がすべての植物の本質を保有し、ギーはその乳の本質と考えられているためです。

食べ物にギーを使わなければ不完全とまでいわれるほど、親しまれてきたこのオイルは、炒め物やソテーなどに最適です。

アーユルヴェーダによれば、とにかく「消化力がすべて」です。

ギーを食べることは、私たちの消化の炎(アグニ)に、最高の燃料を提供するようなものなのです。

ギーはまた、老化によって破壊されていく体内の流動体を作り上げ、適切な消化によって作り上げられる最も洗練されたエッセンスであり免疫すべての基礎となる「オージャス」を、単体で最も増やす食べ物といわれています。

ギーは体全体の強さ、光沢、美しさを増強し、知性を洗練させ、記憶力を改善することでも知られ、私たちが放つオーラの状態にもかなりの影響を与えるような、稀で貴重な食べ物といえます。

 

■牛のギーとバッファロー(水牛)のギー。その違いは?

インドではギーは、牛の乳とバッファローの乳から作られる、二種類があります。
そして、牛の乳から作られるギーの方が、断然好まれて使われています。

これは、なぜなのでしょう?

☆それぞれの性質

(ギーランプは魔除けに最適?)

牛とバッファローの体を見比べると、バッファローの方が明らかに筋肉質で脂肪も分厚い感じです。
見た目的にも想像がつきますが、バッファローミルクの方が脂肪分が多くこってり濃厚な味がし、牛のミルクの方はサラッと淡白な味がします。

また、牛のギーは室温では液状になりますが、バッファローのギーは、室温でも液状にならずにわずかに固体です。

バッファローはほとんどすべての食べ物を食べ、腐ったものでも食べてしまいます。
一方、牛は自然環境の中で育つ分には、バッファローのように何でも食べてしまうことはなく、基本的に草をはんでいます。

バッファローは、牛と比べると匂いが強く、かなり汚いのが特徴で、さらには気質的に、大きな違いがあります。

牛は本来、はるかに穏やかな性格ですが、バッファローは頑固でアグレッシブです。

これらの特徴などにより、バッファローのミルクとそのギーは、より鈍い質をもち、タマス的な質があると考えられています。
(個人的には脂肪分がたっぷりのクリーミーな味がおいしいバッファローミルクの方が好きでしたが……)

牛のミルクはより純粋で、ギーは浄化効果の高いサットヴァ質のため、牛のギーの方が良質といわれています。

また牛のギーは、インドの寺院や儀式ではよくランプ用のオイルとして使われ、ギーランプがもたらす光は、他のどの光よりも美しく素晴らしいと考えられています。
燃えているギーの光は、否定的で邪悪な影響を撃退するのだそうです……。

ギーがとても神聖な食べ物ということがよく表された例といえますね。

 

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