私たちは、物事がなかなかうまくいかないとき、あるいは何か不運なことが起こったとき、「悪いカルマのせいだ」といわれたら、妙に納得したり、なぜかホッと安心したりするでしょうか。
過去や前世において悪いことをしたことがあるので、その報いを今支払っているんだな、と……。
さて、これについてはいろいろな考え方があると思いますが、今回から数回にわたり、インド哲学にも精通するアメリカ人のアーユルヴェーダ専門家・ドクタージョン(https://lifespa.com/)の見解をご紹介してみたいと思います。
ドクタージョンによれば、この「悪いカルマのせい」的概念は基本的に、私たちが本当に悪いことをした場合、それを将来的に心から支払わなければならず、私たちはそれを後悔するべきであり、その行動を変えるために全力を尽くすべきで、過去にした悪いことの報いである……。
そんな考え方は、私たちの士気を下げるだけであり、私たちはそもそも過ぎ去った過去を変えることはできないし、未来は私たちが今、この瞬間に何をしているかによって完全に左右される、といいます。
私たちは「今」しか行動できないのですから。
このため、過去の行いの良い悪いをきっかけとして、その後の人生を生きるべきではなく、あるいは罰を恐れながらおびえて生きるべきでもなく、
もっと深い部分からの理解、愛そして他者を思いやる地点から機能することが、私たちの本質であり、深い理解のために起こるべきである、とアドバイスしています。
私たち人間は全員、必ずなんらかの欠陥があります。
完璧な人間などいません。
一見悪いことのように思える出来事を体験しているとしたら、今、私たちはカルマの変革行動を起こし、正しい理由で正しいことをする機会を与えられているということです。
このため、不必要に、過去の人生でなされた悪い選択の感情的な重荷を運ぶ必要はありません。
また、カルマとは単に「行動」「行為」であり、過去からの否定的な行動は私たちに、将来、積極的に行動する機会を与えるものであり、
誰かが私たちに「悪いカルマのせい」と言うとき、それを言っている本人は本当の意味でカルマ全体のことを把握はしてはいない。とドクターはいいます。
私たちは皆、より深い内なる平和を見つける機会として私たちの悩みを使う旅に出ているのだと。
★カルマの定義
カルマとは単に行動、行為を意味します。
私たちは毎日、自分の真実に基づいて行動する機会として、毎日カルマ(欲望、依存、ニーズ、欲しいものからの解放など)を作り上げています。
そしてそれとは逆に、人生では毎日、欲求、ニーズ、欲求を甘やかすための無数の機会がもうけられています。人生はまさにこれらの機会をナビゲートしていくゲームのようなものなのです。
そしてカルマとは、単にどの種類の行動を選ぶかに関係し、一生の間に私たちがとる行動は、その過程でどれだけ「自己認識」を発達させているかに大きく関係しています。
自己認識は、自然のサイクルやリズムにあったライフスタイル(何百万年もの間、私たち人間の進化を支えてきたライフスタイル)を生きることによって、まず第一に高められる自然現象です。そしてこれが、アーユルヴェーダの基礎です。
ヨガ、呼吸、瞑想のテクニック。これらは全部、自然の概日リズムとのつながりを深めるための強力なツールであり、
より良い健康とより高くそしてより洗練された自己認識の状態をもたらすものです。
自己認識が高められることにより、私たちは肯定的になり、生命を支え、また変革的な行動を選択する機会が増えます。
私たちの行動が、古い感情や行動のパターンに基づいているのか、それとも肯定的で積極的な行動であるのかを知るための簡単なトリックがひとつあります。
それは、その行動によって、私たちが「縮むように感じる」か、あるいは「拡大/拡張するように感じる」かです。
その行動は、満足感を得るためにその投資に対する見返りを必要としますか?
カルマの目的とは、投資に対する見返り(愛、感謝、承認を求めるなど)を必要としない行動を多くとることであり、
実行した行動の結果に執着していると思うなら、それは投資に対してどれだけ見返りがもどってきたかに、喜びが左右されているということです。……
◎次回は、「過去のカルマはどのように機能する? すべてのバラにトゲがある、しかるべき理由」についてお伝えします。
《村上アニーシャ さんの記事一覧はこちら》
https://www.el-aura.com/writer/%E6%9D%91%E4%B8%8A%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3/?c=73188
(トップ画像/概日リズムに合わせたライフスタイルはアーユルヴェーダの基礎)