■自然サイクル(概日リズム)を使った健康法〈1〉~ インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』vol.135

トリニティ読者の皆さま、少々遅くなりましたが、新年明けましておめでとうございます。
今年も、日本ではまだあまり知られていないアーユルヴェーダの教えについて、引き続きお伝えしていきたいと思います。

 

さて、私はお正月早々、アーユルヴェーダの専門家が書いたある面白い記事を読みました。

それは、『サイエンティフィック・アメリカン』(1845年創刊のアメリカ最古の一般読者向け科学雑誌。現在も定期的に刊行中)に載っていた研究報告について書かれた記事で、

なんでも私たちの遺伝子の約82%は、時間帯によってスイッチがオン&オフになり、それがハーブや薬の効き具合に影響を与えるというもの。

このため、ハーブや薬が最も効く時間帯を狙ってとることで、最大限の効果が得られることが、研究で実証されたということ。

アーユルヴェーダの専門家にいわせれば、この研究報告は、ローマ時代にも遡るほどのかなり古い時代の医療概要を、いまさら調べているといった具合に聞こえ、

例えばぜんそくを例に出せば、15世紀のローマ教典とドイツの医者はすでに「ぜんそくの発作が最も起きやすいのは午前2時から夜明けの間」とピンポイントで示されていたということです。

(ハーブ薬は時間帯によって効き目が違う?)

またアーユルヴェーダでは、午前2時から6時までは「ヴァータの時間帯」にあたり、ヴァータの乱れやアンバランスが原因で起こるぜんそくのような症状は、1日の中でもヴァータが一番悪化しやすい時間帯に最も頻繁に起きる可能性が高いことは、予め察しがつくのです。

あるいは胆嚢発作(胆嚢はピッタの器官)を例にあげれば、84%のケースでは毎晩同じ時間(ピッタの時間帯にあたる午後10時から午前2時の間)に、最も一般的に起こることで知られています。

 

また、いくつかの研究では、夕方にアスピリンをとると効果があるも、朝にとると、夕方にとるほどには効果がない。など。

これは、私たちが何かを口に入れた後、それを処理する器官がお休みモードに入っているか、あるいは作動モードに入っているかで、違ってくるというわけです。

そういえばインド暮らし時代に、インド人と話していて、よく聞いたパターンのひとつに、「夜はヨーグルトを食べてはいけない」というのがあったのですが、

理由を聞いてみると、ヨーグルトは消化がとても重い食べ物(カファ質の食べ物)なので、消化力が落ちる夜に食べるには適していない、ということでした。

今思えばインドの人たちは、私たちがよく「夜にコーヒーを飲むと眠れなくなるから飲まない方がいい」といった類のルールを、たくさん持っていて、それが根付いているような印象でした。

……さすが、アーユルヴェーダ発祥の地で生まれ育った人たち。

このことが、インドの人たちの免疫の強さにも少なからず影響を与えているのでしょう。

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(文明の利器には、デメリットな面も)

考えてみれば私たちは、電気があるおかげで夜遅くまで起きていることができ、あるいはネットがいつでもつながり、冷蔵庫があるので食べ物の保存がきき、時間帯に関係なく好きなものが食べれる便利な現代環境に身をおいています。

そしてその便利さゆえに、本来自然のサイクルに適応して動いている体のリズムを無視してしまいがちです。

これは、長らく放置しておくと、後々病気の原因になってしまうこともあるかと思います。

というわけで、次回からはさっそく、予め病気を自然に、そして最大限に予防し、また体の健康状態をキープするために役立つ、自然サイクル(概日リズム)に合った健康法についてお伝えしていきたいと思います。

 

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(トップ画像/day and night background)