■味の効用part.17~6つの味とドーシャの関係(カファ編その1)~ インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』vol.133

このところ、6つの味それぞれが各ドーシャへ与える影響ということでお伝えしていますが、今回は最後のカファドーシャについてです。

 

◆カファと6つの味

「地」と「水」の要素から構成されているカファドーシャは、主に、重たい、ゆっくり、ひんやり、油性、滑らか、密度が濃い、柔らかい、安定、濁った(あるいは曇った)といった質があります。

こうした質を持つカファは、「辛味」「苦味」「渋味(収斂性の味)」でバランスが取れ、また「甘味」「酸味」「塩味」で悪化すると考えられています。

では、各味はカファにどのような影響を与えるのでしょうか。
より詳しく見ていましょう。

 

★《辛味》→バランスをとる

辛味(刺激性の味)がカファのバランスをとる理由は、

・辛味は主に「火」と「空気」の要素で構成され、カファのバランスをとる「熱い」「乾燥」「軽い」「鋭い」といったすべての質を兼ねそろえています。

・辛味は、カファの重要な居場所でもある胃に対して親和性があり、カファを直接的に軽減する効果があります。

・体を自然な形で温め、消化の炎を高めて代謝機能を刺激します。

・乾燥性が強いため、カファの湿り気や水っぽさ、油っぽい質を除去してくれます。

・この味は強い熱を発生させるため、循環を改善し発汗を促して、カファ特有の過剰な粘液を融解するので、体から詰まりや淀み、毒素を追い払う働きがあります。

・辛味が持つ刺激性とよく浸透する性質が、内部経路を開き、感覚をはっきりさせるとともに、血液や筋肉の浄化、濃い血液の稀釈、血管拡張、コレステロールを低下させる効果があり、余分な脂肪分の除去をサポートします。

・この味が持つ上向きの軽いエネルギーは、カファの重たさや惰性に対抗し、熱意や興奮、好奇心、明快さ、また発展性や拡大性を刺激します。

⇒注意点としては、過度の熱や酸度が体にあるときや生殖器系に欠陥がある場合は、辛味は最小限に抑えることがすすめられています。

(カファを悪化させる食べ物は、世俗的な所有欲などを誘発させがち)

 

★《苦味》→バランスをとる

・苦味は「空間」と「空気」要素から成り立ち、「とても軽く乾燥させる」質があります。この乾燥質により、体から水分を追い払い、組織を乾燥させ、詰まりを緩和し、体内に蓄積した粘性の毒素(アーマ)を乾燥させる効果があります。

・苦味はカファの蓄積をごっそりそぎ落とすような作用があり、余分なカファを掃除してくれます。

・胃腸のあらゆる類の不調、特にのろい消化力や便通を矯正するように働きかけます。

・胃と同じように重要なカファの居場所となっている膵臓を洗浄してくれます。

・脂肪を減らすので、健康的で理想的な体重の維持をサポートします。

・精神的な明快さや自己認識を与える効果が、世俗的な所有からの分離を促します。

苦味は、過剰な寒さや乾燥、極端に粗雑な状態、衰弱といった、ヴァータ過剰の症状がある場合や、妊娠中の使用(外用に使う場合は問題ありません)は、最小限に抑えることがすすめられます。