■味の効用part.16~6つの味とドーシャの関係(ピッタ編その2)~ インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』vol.132

さて今回は、それぞれの「体験の味」が、ピッタドーシャにどのような影響を与えるのかについてお伝えしたいと思います。

共感や同情、優しさ、思いやりといった質は、ある種の「甘味」を示すように、私たちは日々、いろいろな味のエネルギーの中で生活しています。

それぞれの環境には特有のエネルギーがあり、私たちのドーシャは、そのエネルギーから無意識に影響を受けていますが、特にヴァータとピッタのような微妙な性質をもつドーシャは、大きく影響されます。

そして、環境のエネルギーからの影響を、意図的に良い方に、あるいは悪い方に調整することは、本人の意思によりある程度は可能です。

もし、悪い影響を受けているように感じられる場合は、それを相殺するような質の「経験の味」を意図的に取り入れることで、バランスをもたらすことがある程度可能です。

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★甘い人間関係や経験は、ピッタの鋭さを和らげ、深く緩和する

(ピッタの特効薬「甘くて冷たいバニラアイスクリーム」)

一般的に、甘いクオリティで満たされた関係や経験は、ヴァータを深く癒すことは、ヴァータ編で触れましたが、これはピッタにも当てはまります。

甘い経験は、ともすればナイフのようにシャープで、容赦なくスパスパ切ってしまうようなピッタの鋭敏さを和らげ、上向きのエネルギー(過剰な向上心なども含む)や行き過ぎた強固さを落ち着かせることができるといわれています。

こういったピッタを落ち着かせるのに効果的な「甘い経験」には、リラックスできるマッサージや、ゆっくりと時間をかけて心地よい景色を眺めたり、自然界の音をゆったりと聞くこと、パートナーとの甘い時間、あるいは自分自身に愛情を与えるようなセルフケアの類がこれにあたります。

こういった「甘い質」を意図的に日々取り入れることは、ピッタを元気付け、深くサポートすることにもなります。

 

★ピッタは、「ドライ(乾燥)」あるいは「皮肉(軽く苦め)」な
ユーモアに惹かれる

ピッタの人たちは、ドライな、あるいは皮肉めいたブラックジョークなどが好きな傾向があります。
これは、ピッタのバランスをとる「乾燥した味」「苦味」が含まれるためで、これらの質はピッタの熱さを冷却する効果があるため、適度である分には、ピッタにとってはよい薬にもなります。

 

★ピッタをさらなる悪化へと誘発する、「酸味のある経験」

(酸っぱい経験はピッタを過酷にする)

一方、ピッタにとって要注意となるのが、「酸っぱい」経験です。
人生における「酸っぱい」経験は、ピッタを憤慨させ、嫉妬や怒りを引き起こすといわれています。

また、塩辛い経験、辛い経験も同様で、こういった味の経験は、ピッタの感情を過剰なまでに悪化させる可能性があります。

このため、ピッタのバランスをサポートするためには、日々、「甘い」「苦い」「渋い」味のする経験を、意図的に日常生活の中に取り入れることがおすすめです。

◎次回は、「カファ編その1」をお伝えしたいと思います。

 

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(トップ画像/自分をいたわるセルフマッサージはピッタを緩和する)