■味の効用part.6~プラバヴ(特殊効果)について~インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』vol.122

今回は、味の効果を知る上で知っておくと便利な専門用語の最後、「プラバヴ」についてお伝えしたいと思います。

インドで暮らしていた頃は、アーユルヴェーダでは薬として扱われることが多いセサミオイルで、よく全身をセルフマッサージしたものですが、外国人などほとんどいない田舎に住んでいたある一時期、ローカルなマーケットで何気なく手に入れたセサミオイルのボトルに、この「プラバヴ」という名前が商品名としてついていました。

当時は、「また何やらインドっぽい、意味ありげな難しい名前がついてるな」ぐらいにしか思いませんでしたが、まったくその通り。
奥深い意味がありました。

 

★プラバヴ(特殊効果)について★

食べ物には、プラバヴと呼ばれる効果があります。
これは、なんとも説明がつかない効果のことで、いわば、食べ物の中に隠されているミステリーな効力、とでも言えるでしょうか。

(ギーの効果はミステリー)

前回までにご紹介した「ラサ」「ヴィルヤ」「ヴィパカ」の三つには、すべて関連性があり、もたらされる効果はある程度予測できるものでしたが、唯一このプラバヴだけは例外です。

プラバヴは、他の3つのように効果を予測することができないため、経験や証拠、または研究などを通じて学ばなければならない類のものだといわれています。
プラバヴは、体の特定の領域に影響を及ぼし、特殊な効力を発揮します。

……一体、どういうことなのでしょうか?
そのいくつかの例を、具体的に見てみましょう。

 

★説明できない、不思議な効果★

《ギーの場合》
例えばギー(精製バターオイル)は、熱を減らすことで知られている有名な食材ですが、なぜギーがそれほどまでにうまく熱を減らすのかについての説明が語られることはほとんどありません。

通常、栄養価の高い食べ物は、熱を増加させる効果があるとされ、このため「風邪には大食、熱には絶食」(熱をさけると風邪になる、というような意味)という諺もあるほどです。

実際のところは、慢性的な発熱状態にある場合、そのままずっと断食するわけではないでしょうが、ある一定の期間断食することは、実際に有効な治癒方法のひとつとされています。

他にも、病気の予防や手当についての知恵を表現した諺には、「一日一個のリンゴで医者知らず」や「睡眠は薬にまさる」などがよく知られていますね。

さて、ギーが持つこのユニークな「滋養するのに熱を減らしてくれる」特性は、慢性的な熱によって衰弱した人たちにとって、とても優れた薬になるといわれています。
何せ、熱を冷ましながらついでに栄養も補給してくれるので、一石二鳥です。

そしてこのギーの効果は、臨床的に見た場合、説明ができない驚くべきことなのです。

《コリアンダーの場合》
コリアンダーは、言わずと知れた、素晴らしい消化促進ハーブのひとつです。

一般的に消化促進する効果のあるものは、「熱する」効果があるため、とりすぎるとピッタを悪化させかねないものがほとんどです(その典型がショウガや唐辛子類など)。
ただし、コリアンダーは逆に冷却します。

(消化促進ハーブは一般的に「熱する」効果がある)

コリアンダーの持つこの特殊な冷却効果は、炎症による消化不良(ピッタ不調が原因となって起こる消化の不調)に、とても有効です。

《蜂蜜の場合》
蜂蜜を例にとってみましょう。
ほとんどの甘味料は、本質的に冷却する効果があるため、カファを増やし、体重を増加させます。
ところが蜂蜜の場合、逆に加熱して脂肪代謝を促進する効果があります。(ただし、砂糖を加工して作られた偽蜂蜜が普通にスーパーの棚に並んでいたりするので、あくまでも加熱処理されていない生の蜂蜜だけが、この効果があります)

このため、体重を気にするカファ体質の人にとっては、適度にとる分には理想的な甘味料として使うことが出来ます。

《ムング豆の場合》
ケチャリを作る際に、定番として使われるこのムング豆。
マメ科が持つ繊維をすべて持ちあわせていながら、一般的に消化が重いのが特徴の豆類とは違い、消化がとても簡単です。

……こんな風に、例外がたくさんあります。
自然界が育むものというのは、本当にバラエティ豊かですね。

 

《村上アニーシャ さんの記事一覧はこちら》
http://www.el-aura.com/writer/%E6%9D%91%E4%B8%8A%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3/?c=73188

 

(トップ画像/カファにいい甘味料「蜂蜜」)