■免疫を高める食品選び〈18〉 ~生の食べ物と加熱調理した食べ物、 ヨガとアーユルヴェーダそれぞれの異なるアプローチ~インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』vol.100

ヨガ行者ならかすみでOK。

・《調理された食べ物と生の食べ物、それぞれの効果》

アーユルヴェーダによれば、生の食べ物(野菜)は、ヴァータを構成する「空気」と「空間」要素から成り立っているため、体とマインドの中のヴァータ質を増大させる質があります。

生の食べ物には、プラーナ(生命エネルギー)が豊富に含まれ、私たち自身のプラーナやマインドの微妙な感覚、感性を助長し、また体とマインドの経路を浄化するため、ヨガ的な食事法では、断食はもちろん、生の食べ物がよく食べられています。

よく、「仙人はかすみを食べて生きる」といった表現がされることがありますが、偉大なヨガ行者は、空気またはプラーナだけで生きることができるとされ、あるヨガ行者たちは水だけで生きることができ、またある行者たちは、ほんのわずかな果物、牛乳またはギーだけで生きることができたのだそうです。……

一方、調理された食べ物は、カファを構成する「地」と「水」要素を増大させ、また、ピッタの要素「火」を高めます。

このため、調理された食べ物は消化されやすく、体を作り上げる上でとても役立ちます。

 

・《一般人を対象としたアーユルヴェーダの食事アプローチ》

アーユルヴェーダの食事アプローチは、ヨガ行者や霊的修行者といった、ある意味、俗世間と距離をとってひたすら修行に励むことに専念している人たち向けではありません。

どちらかというと、日々、世間の中で仕事をしながら生活し、外部からの絶え間ない変化や、生の過酷な場面から、逞しく身を守らなければならない、そんな一般の人たちを対象にしています。

私たち一般人は、苦行をすることによってはじめて身につけることができるような、生の食品類を長時間にわたって適切に消化できるといったヨガ行者並の特殊能力は、残念ながら持ち合わせていません。

このため、デヴィット・フローリー博士は、伝統的なヨガ的食事というものは、気質的に普段から消化力にムラがあるヴァータタイプの人は特に、逆にヴァータを悪化させてしまう潜在性があることを警告しています。

また、代謝の遅いカファタイプの人たちや、日々肉体的な労働をしなければならない人たちにも、ヨガ的な食事は向きません。

ただ、体の解毒目的のために、「短期間のみ」ヨガ的な食事をとる場合は、解毒がスムーズに行われるので、とてもメリットがあります。

 

・《食事に生の食べ物を含める、理想的な割合は?》

普段の食事の中で、ほどよくビタミンやミネラル、酵素を補うためには、一般的に10~12%ほどの生の食べ物を加えることが理想的といわれています。

(インドの定番サラダ:「トマト、紫玉ねぎ、キュウリのみじん切り」)

これにピッタリなものの例は、キュウリや大根、ニンジン、トマト、生のモヤシ類、コリアンダー、パセリなどです。
(よく定食などで、ちょっとした飾り程度についている地味なパセリなどは、しっかり食べておきましょう)

こういった生の食べ物にさらに、消化の炎を高めるスパイスとして、ショウガ、チリ、シナモン、バジルなどを組み合わせることができれば、もういうことなしです。

生の食べ物はおいしいので、生野菜のボールをモリモリやってしまいたいこともありますが、あくまでも消化許容力を超えない程度に食べるのが理想的です。

 

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