鼻は脳へのゲートウェイ<3> ~アーユルヴェーダとアロマテラピー part.4~インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』vol.56

「鼻孔」は、アーユルヴェーダの古代言語・梵語において、「脳への入り口」をさす言葉といわれています。

~1日1分で明晰さがアップする、
アーユルヴェーダ伝統の鼻浄化方法・ナシャ~

さて、このシリーズも後半に差し掛かりましたが、今回から二回に渡り、ヴァータケアや脳の元気回復にとても役立つ古代アーユルヴェーダのテクニック、「ナシャ」「ネティクリア」についてご紹介していきたいと思います。

この二つの方法は、私がインド生活時代に日課のひとつとしてやっていた方法なのですが、頭や感情が行き詰ってしまっている時や、手っ取り早く気分を変えてリフレッシュしたい時などに、とても役に立ったシンプルな方法です。

ただ、初めてこれらの方法を知り、試し始めた当初は、ちょっと微妙でした。というのも、先進国からやってきた人間にとっては、アーユルヴェーダのテクニックというのは時々すごく原始的で、「え? そんなことして本当に大丈夫なの?」と不安になったり、やること自体がやや気恥ずかしいものだったり、はじめのうちはちょっと怖気づくようなテクニックが、実は少なくないからです。

今回ご紹介するナシャもまた、ある意味原始的な類いのもので、そのイメージは、「真面目に鼻をほじってみる」といったものに近いかもしれません。(実際はほじるわけではないのですが)

長いインド生活の中で、さまざまなアーユルヴェーダのセルフケア方法を試していく中で、初めの頃にあった気恥ずかしさもいつのまにか消え失せ(ついでに日本では当たり前とされるマナーやお行儀もいつしか忘れ)、ある種の束縛がなくなった開放感を味わえたのは、インドという独特の空気感のある環境のなせる技かもしれません。

そして、これらの方法を試した後の効果を実感しながら、アーユルヴェーダの人間の体に対する理解と叡智に、いつも驚かされたものでした。

カラムス入りナシャオイル

(カラムス入りナシャオイル)

 

では、ナシャを実際にやってみることにしましょう。

■ナシャのやりかた

一日たった1分程度でできます。次の方法のうち、いずれかひとつを選んでやってみてください。

<その1.鼻の中に小指を入れてマッサージする方法>

毎朝、小指に3~5滴程度のオイルをつけ、片方ずつ、それぞれの鼻の中
へ入れます。穴の奥付近にオイルを塗り、ごく穏やかにゆっくりと、
その付近をマッサージします。その後、オイルを鼻から吸い込みます。

<その2.鼻の外側からマッサージする方法>

それぞれの鼻の穴に、各5滴のオイルをそれぞれ入れた後、深く、強制的に、オイルを鼻から吸い込みます。その後、鼻の外側から通り道にほどよい圧力をかけながらマッサージします。

★使うオイルについて

(ピッタにいいブラーミ入りのギー)

(ピッタにいいブラーミ入りのギー)

一般的には、ブラーミカラムスといった脳活性効果のあるハーブが入った、セサミオイルベースのハーブオイルが使われますが、質のいいセサミオイルギー(精製バターオイル)でも構いません。

ヴァータの人は、セサミオイルかギー、ピッタの人はギーかココナッツオイル、カファの人はセサミオイルが理想的です。

■ナシャをすることで得られる効果

「鼻孔」は、アーユルヴェーダの古代言語・梵語において、「脳への入り口」をさす言葉といわれています。私たちの生命の素、息(プラーナ)は、鼻を通じて体全体に行き渡ります。このため、鼻孔を常に健康的かつ開いた状態に保つことで、不定期に起こる鼻の詰まりなどの不調を軽減できると同時に、嗅覚を正常に機能させ、ヴァータのバランスを保つことで、精神的な明晰さや記憶力、バランス感覚と心の平静さもまた、維持できるのです。

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◎次回は、ナシャよりもやや高度な方法、「ネティクリア」についてお伝えしたいと思います。

 

《村上アニーシャ さんの記事一覧はこちら》
https://www.el-aura.com/writer/%E6%9D%91%E4%B8%8A%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3/?c=73188