あわじ結び、平結び、縁結び……やさしく、強く、素敵な結びを楽しもう。

上が本結び、下がつゆ結び。つゆ結びは繰り返すときれいな紐になる。

●結びは、むすひ(産霊)。すべてを生み出す力。

結びは、ただ紐を結ぶ、何かと何かを結びつけるというだけでなく、人と人、心と心の結びも意味する。
日本の神様の世界で結びとは、むすひ(産霊)で、すべてのものを生み出す神の力のことだそうだ。

むすびを名前に含む神様もいらっしゃるらしい。

天照大神の天岩戸からの帰還に働きかけたタカミムスビ。
また、掬び(むすび)とは、水を掬って(すくって)飲むことで、それは水の中の霊魂を体に入れてむすぶことを意味するらしい。

結びは神聖なものとされ厄除け、魔除けに使われてきた。
古代からあるそんな結びの心を想うと、ただ紐を小さく結んだだけでも何となく、意味があるように見えてくる。
小さい頃、最初に教えてもらったのは、ちょうちょ結び。
できない頃は、輪をふたつ作って結んでいた。
おばあちゃんは、それでもいいと言ってくれた。
実を結ぶ、縁を結ぶ、おむすび、ちょうちょ結び。
結ぶと何か素敵なものが生まれてくる。

 

●本結び、リーフノット、ヘラクレスの結び。

基本の結びに、本結びがある。
別名がいろいろあって真結び、まる結び、男結びとも呼ばれるようだ。
着物の帯留めやお祝いごとの水引きにも使われる。
英語ではリーフノットというらしい。
ヨットの用語で、リーフは帆を縮めると言う意味で、そのときの結び方であるところからきているそうだ。

本結びの歴史は古くて、古代ローマ時代には、ヘラクレスにちなんで子孫繁栄を願って腰紐の結びに使用し、傷の治りが早くなると包帯の結びにして、ヘラクレスの結びと呼んでいたとの説もある。
2本の紐をつなぐ、単純だけど強力な本結びの力は、生活の中でごく自然に生まれたのかもしれないけれど、どこか不思議な力があるように信じられたようなところがあって興味がわく。

 

●あわじ結び、かごめ結び、釈迦結び。いろんな結びを楽しもう。

あわじ結びも、お祝いの水引きに使われる結び。
あわとは天地を表す言葉らしい。
天と地、神と人を結ぶ、両端を引っ張るとさらに強く結びつくところから末永いおつきあいを願う意味もあるそうだ。
かごめ結びは、かごの目ようだからそう呼ばれ、魔除けの効果があると信じられたそうだ。
釈迦結びは、この結びをまとめるとお釈迦様の螺髪に似た形になるからだという。

いろんな結びを試してみると、単純な紐の交差から広がる多彩なカタチがおもしろい。
きちんと決まると凜として美しいし、ゆるくてもかわいい表情が生まれる。
アクセサリーにしたり、ストラップにしたり、ラッピングに使ったり、いろんな楽しみ方がある。
ただ、好きな紐を見つけて結んで遊ぶだけでもいい。

(左があわじ結び、右がかごめ結び)

 

●パラシュートの紐で、平結びブレスレット。

農業会館の中にあるメルヘンアートさんでは、パラシュートの紐でブレスレットなどのアクセサリーを結ぶ紹介をされている。
好きな色の2本の紐を平結びしていく。
間違えて通すとすごく落ち着きがわるく、正しく通すと気持ちよくピシッと決まる。
その感触は不思議なくらいに手と心に響くから、間違えたまま続けることはない。
結び終わりは、ライターの火で紐を溶かしてかためる。
ただそれだけで強く結び終わるので簡単だけど、ライターの火にはご注意を。
平結び以外にも、つゆ結びの連続、ねじり結びなどでもブレスレットが作れる。

(応援しているバスケのチームカラーで作った)

(パラシュートの紐いろいろ。たくさん種類があって組み合わせも自由)

(メルヘンアートさんの店内。マクラメのワークショップなどが行われている)

(麻ひもで、いろんな結びで作ったブレスレット。素材が変わると表情も変わる)

 

●結びを工夫すれば、長さの調節も簡単に。

輪を作るとき、その大きさを調節するアジャスターになる結びがある。
皮紐のペンダントなどを作るときなどに便利。
写真をご参考に。

今回は、わかりやすいように左右を違う色で作っている。
左はしで右のはしから少し下を結び、右はしで左はしから少し下を結ぶ。
写真の上が締めて短くなった状態、写真下がゆるめて長くなった状態。
すべらせるように短くしたり、長くしたりできる。

結びについて書いたけれど、まだまだ知りたいこと、結んでみたいことが多くて、結びの言葉が見つからない。
時には強く時にはゆるく、結ぶ美しさ、楽しさを極めていきたい。

(上が縮めた状態、下が伸ばした状態。結ぶだけの簡単アジャスター)

 

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