1000年以上も続く、今なお皇室で行われている魔除けとは?

スピリチュアルな観点からみると、エネルギーは「波動」であるという考え方が一般的になっています。すべてのものには、固有の波動があり、固体であっても揺らいでいるというのは、量子物理学などでも解明されてきていますが、このような理論に乗っ取ると、「弓の弦をはじいたときに出る音というのが、ネガティブなエネルギーを浄化するのにぴったりの振動を持っている」ということなのかもしれません。

【平安時代から続く由緒正しい魔除け】

魔除け、すなわち「ネガティブなエネルギー」から身を守るための方法というのは、様々なものがあります。シンプルな方法から、様々な道具が必要になるような大がかりものまでありますが、今回は「平安時代から伝わっているという由緒正しいもの」を紹介したいと思います。

この魔除けには、ちょっと変わった道具を使います。その道具というのは「弓」。ポイントは、「弓矢」ではなく、「弓」だけを使うことにあります。お正月に「破魔矢」を購入する人は多いかも知れません。この「矢も魔除け」の意味を持っているのですが、今回は紹介するのは、を使わないものです。

【弓だけを使った魔除け 鳴弦】

その手法とは「鳴弦」と呼ばれています。名前の通り、「弦を鳴らす」ことで魔除けの力をもたらすわけです。鳴弦の起源は定かではないのですが、「平安時代頃」に考え出されたのではないかといわれています。

当初は「誕生日」などのおめでたい日に行われていたようなのですが、「天皇が入浴する時」や、「出産の時」にも行われるようになりました。弓に矢をつがえずに、弦だけを弾き鳴らすことで、いったいなぜ邪気を祓うことができるのかは、定かでは無いのですが、日本の中心ともいえる天皇を守るために使われていたわけですので、それだけの力があったということなのでしょう。

【時代と共に力を増やした鳴弦】

さらに、時代がたつと、「病気を祓ったり、悪霊を祓ったり」など、基本的に「ネガティブなエネルギーならば、なんでも祓えるようなもの」になっていきました。平安時代には「蔵人」と呼ばれる役人が、天皇の入浴時に行っていたのですが、鳴弦の適用範囲が広がるにしたがって、宮廷の関係者でなくとも、鳴弦を行う人が増えてきました。

その結果、僧侶や神職、巫女などの「宗教者も鳴弦を行う」ようになり、現代にいたるまで神社などでは「鳴弦神事」としてその姿をとどめています。ネガティブなエネルギーを祓うところに主眼が置かれているためか、節分、すなわち「追儺」の行事にあわせて行われることが多いようです。

【現代でも皇室では鳴弦が行われている】

ちなみに、皇室では、「現在でも子供が産まれたときなどに鳴弦が行われている」とされています。1000年以上にもわたって、このような儀式が行われているのには、いったいどういう意味があるのでしょうか?

スピリチュアルな観点からみると、エネルギーは「波動」であるという考え方が一般的になっています。すべてのものには、固有の波動があり、固体であっても揺らいでいるというのは、量子物理学などでも解明されてきていますが、このような理論に乗っ取ると、「弓の弦をはじいたときに出る音というのが、ネガティブなエネルギーを浄化するのにぴったりの振動を持っている」ということなのかもしれません。

また、弓というのは銃が登場するまでの長い間、飛び道具としてほぼ唯一のものでした。それだけ、「戦いの場で強い力をもっていた」わけですが、その力を借りるという意味で、弓や矢に、それぞれ魔除けとしての力があると考えられたということも考えられます。

今では弓は、弓道という形で存続しているだけで、一般人が使うことはほとんど無くなってはいますが、それでも皇室はもちろん、神社などでは「重要な儀式の道具」として使われ続けています。長い歴史と伝統を持つ、鳴弦。その神秘的な響きを聞いてみたいという方は、お近くの神社で、節分に儀式が行われないかどうかをチェックしてみてください。

Traditional amulet.
The sound of the bow is purification of negative energy.