アンガーマネジメント Vol.26「最初の一歩を踏み出せない理由」

変化することへの不安

アンガーマネジメントでは、不安・ストレスのコントロールの初歩にも触れています。上手に不安をコントロールするには、今自分が抱える問題を「自分が努力して状況を変えられるのか/変えられないのか」にまず分けて、「自分の努力で変化を起こせる事は、変化を起こしましょう」と紹介しています。

でも、変化を起こせるはずなのに、一歩を踏み出せない人が非常に多いのです。
このような、「恐くて一歩踏み出せない心理」について、連載記事「アンガーマネジメントVol.13~2014年変化を起こしたい貴女へ~」でも書かせて頂きましたので、お読みになっていない方は、ぜひこちらからご覧下さい。

損失を回避しようとする脳の働き

今回、この記事で触れている「損失回避の心理」について少し詳しく書かせて頂きます。

私たちは、「新しく何かを始めて得ることより、今持っているものを失うこと」の方を過大評価してしまいます。
例えば、離婚した方が幸せになると分かっているのに、色々な不安が湧いて来て仮面夫婦を続けているだとか、独立した方が人生は充実するだろうと思っているのに、文句を言いながらサラリーマンを続けている。もしくは株で損切りできないetc……。

みなさんも、きっと心当たりがあると思います。

これには、私たちの古い脳の一部(人には原始的な古い脳と、高次認知機能を司る新しい脳があります)の、腹側線条体(ふくそくせんじょうたい)と呼ばれる部分の活動が関係しているのです。
古い脳は、動物である限り抑えられないどうしようもない衝動を司ります。
ですので、新しいことを始めると、それによる損失を恐れるのは人間である限り仕方がないんですね。

例えば、あなたは①と②では、どちらの宝くじが欲しいですか?

①もれなく1万円が当たる宝くじ
②90%の確率で1万2千円が当たるけれど、残り10%の確率で何も貰えない宝くじ

大多数の人は、①を選びます。
冷静に考えると、10人中9人は1万2千円を貰えるので、②を選ぶ人が多くても良さそうなのですが、理性がうまく働かなくなってしまうのです。

京都大学のこころの未来研究センター・阿部 修士准教授によると、「損失を回避しようとする強さ」は、この腹側線条体が活動する個人差と密接に関係しているそうです。

もしも、何かを決断したのになかなか恐くて一歩踏み出せないという方は、自分の古い脳が変化を邪魔している、と冷静に捉えると勇気が出て来るかもしれません。

 

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