一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.49 「グレート デイズ! ―夢に挑んだ父と子―」

鉄人レースに挑んだ父親と障害のある息子
息子役の少年の瞳に魅了される感動作!

障害を持って生まれてくる魂は霊格が高いといわれる。
困難な体を選ぶことで、今生での修行もハードルの高いものになる。また、そういう体で生まれることで、周りの人々を成長させるという使命もある。
また、その魂は天使、ということもあるそうだ。
本作で一番印象に残ったのは、息子役の少年の瞳の美しさである。
実際に障害のある少年が演じているのだが、大きくてキラキラして、白目が真っ白で、澄んだ瞳は力があり、いつまでも見ていたい。そして見つめられたい。という不思議な瞳で、その瞳を見るだけでこちらも浄化されそうだった。
たぶん、彼に会った人は皆彼のことを大好きになると思う。
ある意味、彼も天使なのだと思う。
本作は彼の魅力で支えられていると言っても過言ではない。

その彼がずっと上手くコミュニケーションを取れないでいる父親とトライアスロンに挑むというストーリー。しかし、フランス映画ならではの、お涙頂戴なんてサラサラなくて、淡々と家族の関係を描いている。もちろん、ラストは感動して「やったあー!!」とうるっとするが、湿っぽくない。
「いい映画を観た。さあ、私もがんばらなくちゃ!」という気持ちのいい後味が残る。

父親役の色気、母親役の美の姿勢
フランス人俳優ならではの美しさも特筆

さて、アイアンマンレースといわれる、トライアスロンの中でも最もヘヴィといわれるレースに挑むわけだが、大変なのは父親の方。だって障害を持った息子をボートに乗せてそれを引っ張って泳ぎ、自転車に乗せて走り、車椅子を押して走るのだから、二倍のパワーがいるのだ。もう、観ててハラハラ。

演じるジャック・ガンブランは猛特訓をしたそうだが、その引き締まった細マッチョな体は惚れ惚れする。ずっと好きな役者ですごい男前だけど、体を絞って悲壮感漂う様は、より凄みのある色気がにじみ出ていて素敵であった。フランス人の顔はドラマがあるなあ、アメリカ人とは全然違うものが根底にあると思う。

もう一人特筆なのが、母親役のアレクサンドラ・ラミーだ。ぱっと見、かなりお歳かしら?と思われる頬のこけ方なのだけど、よく見るとこれが美しいのだ。まず首から胸にかけてのデコルテが綺麗! 胸もグラマーだけど、長い首から肩にかけてのラインが素晴らしく美しい。首にしわなどなく、顎の肉のたるみもない。首から胸にかけてビリビリ緊張感があるのだ(この部分に緊張感を感じられる女優は日本では富司純子。アメリカではちょっと古いがゴールディ・ホーンくらいだ)。そして姿勢もいい!
四十代だけど、女優としてどこから撮られても見られてもokよ! という頑強な意志が感じられて、見てるこちらもビシッとする。フランスの女優は歳をとるほどに美しくなる人が多い。ドヌーブ様しかりベベ様しかり、七十、八十代になっても美しいのだ。これもアメリカの女優とは全然違うところだ。

本作は父と息子の歩み寄りの映画である以上に、フランス人独自の美しさや色気が色濃く感じられた一作でもあった。

『グレート デイズ!-夢に挑んだ父と子-』
監督・脚本 ニルス・タヴェルニエ
脚本 ピエール・レイジュー ローラン・ベルトーニ
出演 ジャック・ガンブラン アレクサンドラ・ラミー ファビアン・エロー
■8月29日(金)
TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条、OSシネマズミント神戸、TOHOシネマズ西宮OS ほか 全国ロードショー
■90分
© 2014 NORD-OUEST FILMS PATHÉ RHÔNE-ALPES CINÉMA