アンガーマネジメントVol.34 ~ スピリチュアルもバランスが大切 ~

先週は、『癒しフェア2014』の講演会とワークショップに登壇させて頂きまして、とても楽しい時間を過ごしました。私は普段神秘的な世界やスピリチュアルには余り触れる機会がないのですけれど、そんな私でも占いやグッズのお店を見て回るのはとても興味深かったです。
今回、スピリチュアルを信じる人にもそうでない人にも持って頂きたい視点があります。それは「自分の足で立つ事」「期待を正しくもつ事」です。
私達は、常に楽な方楽な方に逃げて行きたいんです。脳は、正確さよりも速さを優先しがちで、感情だって高次認知機能を使わないで本能の赴くままに出した方が楽なんです。
私は特別な能力がないので、もしこれから書く事に反発を感じる方もいらっしゃると思います。ただこういう考えもある、という感じでお読み下さい。

もし悩みや困難を抱えていると、その原因をスピリチュアル的なものにしたくなるケースもあると思います。自分以外の力が及ばない何かのせいで、こうなってしまっている、と。
それが人生を反転させるきっかけになれば何も問題がないのですが、逆に起こる事全てを自分以外の何かのせいにして、人生の責任を放り投げてしまうのは本末転倒です。
人生なんて、大変な事の連続なんです。
悲しい事や困難全てを受け入れて、「自分で人生を切り開いてやってやる!」という固い意志がなければ、前には進めません。

私達は『期待』に支配されている

パワーストーンとか、グッズもたくさんありますよね。ちゃんとしたものは効果がきっとあるのでしょう。ただし、「効果」の裏にはほとんどの場合「期待」がセットになっているのです。
プラシーボ(偽薬)を聞いた事はありますか?「これはよく効く薬ですよ」といって患者に飲ませると、本当の薬と同じような治療効果を発揮するんです。
古くは1700年代から、この効果について検証されてきました。
1955年、ハーバードメディカルスクールのビーチャー教授が行った実験では、プラシーボを投与した患者の3分の1に症状の改善が見られました。
1970年代には、神経学者が歯科手術を受けたばかりの患者に鎮痛剤として何の効果もないプラシーボを投与すると、実際にオピオイドという鎮痛効果のある物質を脳内で作り出していました。
実は「期待」はダイエットにも関係あるんですよ。痩せようと思って「低脂肪」とか「カロリー控えめ」とか書いてある食べ物を食べると、満腹感を得られなくなってしまうんです。また自分が飲んだスムージーのカロリーを高く知らされた被験者は、他の被験者よりもお腹が空きにくくなります(実際に血中のグレリンというホルモン濃度が変化します)。

いずれも効果の裏には「かならず○○になるんだ」という被験者の「期待」があります。だから、もし何か欲しい開運グッズがあっても高くて買えなかったら、チープな何かを代わりに持って、きちんとした「期待」をかける事です。
脳は自分に都合の良い情報を集め、行動を合理化しようとしますから、グッズは何でもいいんですよ。火葬場で棺に一緒に入れた10円をお守りにしたり。
科学的な話に聞こえてつまらないと思いますが、実は私も不思議な体験は何度かしています。けれど、結局行き着くのは「自分でどうにかするしかない」という事。見えない物に解決を依頼したくなったら、まずは「今の自分はどうありたいのか」と自分の手で問題を解決する強さを、ぜひ持って下さい。上手にスピリチュアルとのバランスを取って下さいね。