一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.30 『BUDDHA2 手塚治虫のブッダ―終わりなき旅―』

第1部から3年!
手塚治虫の傑作漫画「ブッダ」の完全映画化第2弾

手塚治虫の漫画「ブッダ」は、私の人生のバイブルとも言える漫画で、ほぼ最初から泣いて泣いて泣きまくった漫画である。未読の方は是非読んでいただきたい。また、手塚漫画は「火の鳥」も必読書であり、余裕があれば「ブラック・ジャック」も人生での必読書である(笑)。さて、そんな思い入れたっぷりの漫画のアニメ作だ!

2011年に公開された「手塚治虫のブッダ―赤い砂漠よ!美しく―」の続編であり、3部作のうちの2作目。前作では、ラスト近くのシッダールタに好意を寄せる女、ミゲーラの自己犠牲にハラリと涙したが、まだまだ序盤と言う感じだった。しかし、本作はシッダールタが苦行によって悟りを開こうとするがそれが間違いだと悟り、再び人々を助ける旅にでるという、ブッダの基盤が作られる一番見ごたえがあるパートとなっている。と言ってもシッダールタより、彼が出会う人々のエピソードに私は感動させられたのだが。

 

予知能力を持つ少年アッサジの死
無垢な大男ヤタラ、ルリ王子のエピソードに涙涙……

まず本作で一番の聖なるキャラクター、アッサジ。彼は予知能力を持つ少年で、シッダールタに仕えながらも自分の死ぬ日やシッダールタの未来を予言していく。そして、自ら予言した通りに満月の晩に狼に食われて死ぬ…。

もう、このアッサジが登場するシーンは全て不思議な空気が満ちていて、聖なる衣に包まれているようで、とにかく清らかなのである。私は彼が登場する度に涙目状態で死する場面では号泣! アッサジの死を阻止できなかったシッダールタは泣き叫び苦悩するのだが、マーヤー天(シッダールタの母親で、死後天界から彼を見守る)が「悲しむでない。アッサジは狼に食べられるために生まれてきたのだよ。この宇宙では動物も植物も人間も全てつながっているのだ」という言葉にまた号泣!
そうなのだ、アッサジは食べられることで狼を生かしているのだ。彼の死は決して無駄ではない。
シッダールタは彼の死によってこの世の掟や条理を知る。

そして次に印象的なのが、奴隷の母親を憎みつづけるコーサラ国のルリ王子。彼の母親をかばいつづけるルリ王子の家来、ヤタラ。彼らのエピソードも涙なくしては見られないほど悲しみと苦しみに満ちている。もちろん、またまた号泣!!(特に大男で無垢な魂を持ったヤタラ、まるでフェリーニの「道」のアンソニー・クインだ!)
シッダールタは彼らに出会い、この世に苦しみや悲しみがない人間などいない、と悟り、自分の役目に目覚める。

 

多くの教えを得られる
「光」が宿る映画

どうして私たち苦しむのか? 動物や花や木たちはなぜ存在するのか? 私たちはなぜ生きているのか? 私たちの人生に意味はあるのか? 死とは何か? この映画にはこれら全ての答えが詰まっている。ブッダの教えが散りばめられている。私たちはこの映画で多くのことを教えられるだろう。

また、シッダールタが悟りを開くシーンの光の処理の演出が素晴らしく清浄で美しい。この映画は「光」溢れる稀有な映画である。私たちはこの映画の「光」で浄化される。間違いなくこの映画には聖なる「光」が宿っている。

 

『BUDDHA2 手塚治虫のブッダ―終わりなき旅―』
2014年2月8日(土)全国公開
http://www.buddha-anime.com/
(C)2014「手塚治虫のブッダ2」 製作委員会