長寿と健康の秘訣は地中海食!アンチエイジング専門医・川田浩志先生インタビューPART.3

がんの予防効果の高い野菜とは?

――野菜には、緑黄色野菜や葉野菜などの種類がありますが、摂取する順番に優先順位はありますか?

川田先生:
「調査研究では、残念ながらそこまでは出ていないですね。ただ、こういうものはありますよ。アメリカのがんを防ぐ野菜と果物のリストです。それによると、トップはニンニクです。それからセロリやキャベツ、ニンジンなどが続きます。これらは決して特殊な野菜ではありませんが、がんを防ぐ効果は高いようです。それらの効果は、野菜や果物の色や匂い、味のもとになる成分中に含まれているファイトケミカルという一連の化学物質によるところが大きいと考えられます。あとは、ピーマンやトマトなどですね。いわゆる一般的なサラダですよ。なるべくなら生がいいです。私の場合は、朝は野菜ジュース、昼と夜はサラダにしています。3食サラダというのは、さすがに辛いですので(笑)」

食事はとにかくバランスよく!

川田先生:
「食事はとにかく“バランスよく”が基本。野菜も、レタスだけ食べるというようなことではなく、種類は絶対に多いほうがいいと思います。どうしても忙しくてなかなか自炊ができないという人は、スーパーに行けば、カット済みの野菜を売っていますよね。それでもいいのです。さらに、ミニトマトも買ってサラダに添えれば、見た目にもカラフルですしね。“カラフル”というのも重要なポイントです。それこそがファイトケミカルなので、食事を色とりどりにしたほうが、より効果的だと思うのです」

――食事はバランスが大事ということですが、毎食いろいろな野菜を食べなければなりませんか。1週間のうちでバランスを取ることができれば、効果はありますか?

川田先生:
「一番避けたいのは、1種類だけをずっと食べ続けるということです。

サプリメントにしても、そうです。ベータカロテンであるとか、ビタミンEなどは、がんや心筋梗塞を減らすのではないかと言われますが、こういった成分を1種類だけ摂り続けるのはけっこう危険なことが、近年の研究からわかってきています。

実際にフィンランドやアメリカで、喫煙者にベータカロテンのサプリメントを与えたら、肺がんが減るのではないかという、大規模な調査が実施されました。結果はどうなったと思いますか。むしろ肺がんが増えたのです。肺がんが増えたというフィンランドの報告を受けて、アメリカの研究は途中で中止になってしまいました。ビタミンも、化学物質の一つですので、単体で摂り過ぎるのは、危険なのです。結局のところ、野菜と果物をバランスよく食べるほうが、がんや心筋梗塞の予防になっています。やはり、基本はバランスよく、ですね!」

~PART.4につづく~

 

<プロフィール>

川田浩志先生
東海大学医学部血液内科准教授。医学博士。著書に『見た目が若いと長生きする』(筑摩書房)他
ブログ:http://ameblo.jp/antiagingworld/

Photo: Miho Urushido