長寿と健康の秘訣は地中海食!アンチエイジング専門医・川田浩志先生インタビューPART.2

“地中海風”の重要な要素「野菜」と「果物」の摂取量の目安

川田先生:
「地中海食において、野菜と果物は1日にどのくらい食べれば良いのか。よく300gとか400gといわれますが、ここ半年の報告においても、最低でも野菜と果物を合わせて、その程度を摂るのが良いという結果が示されています。

研究によると、野菜や果物を100gずつぐらい増やして摂取していくと、死亡率も確実に下がっていくのですが、一番結果が良かったのは500~600gのあたりですね。これは、野菜と果物を足した数字です。もちろん、日本でよく言われる350~400gでも効果はあるようです。

よく推奨されている350~400gといった野菜や果物の摂取量は、必要な栄養素を満たすという面から換算された量ですが、今後は日本でも、もっと病気予防効果や死亡率減少効果などにフォーカスして推奨摂取量を決めていくべきだと思います。

一方で、調査結果を見ると200gくらいから効果が出るということがよくわかりますね」

――野菜と果物を合わせて500~600g摂った結果が一番良かったということですが、一目で500~600gだとわかる、何か目安になるようなものはありますか?

川田先生:
「目安というのは、なかなか難しいですね。よく一握り、こぶし大ぐらいが1日に必要な量ぐらいだと言いますから、こぶし大以上ということが一つの目安でしょうけど、野菜の種類にもよりますので、ご自宅で一度くらい、どのくらいの量で350~400gになるのか実際にやってみると良いですね」

野菜は温野菜が良いのか、生野菜が良いのか

川田先生:
「野菜についても、よく温野菜が良いのか生野菜が良いのかとい言われますが、ここ半年ぐらいで出た大きなスタディの結果によると、病気予防と長生きには生野菜のほうが良いということでした。

これは、生のほうが、温度の影響を受けて落ちることがあるビタミンや、ポリフェノールなどのファイトケミカルの活性が保たれるからではないかと思います。

果物はよく「甘いから」といって避ける方もいるかもしれませんが、たとえばブルーベリーやブドウやリンゴは、むしろ摂取したほうが糖尿病のリスクが減るというデータもあります。

ただし、それが市販の果物ジュースだと、逆にリスクになって、糖尿病になりやすくなってしまうという結果が出ています。市販のジュースは、後で糖分をけっこう加えているものがあるので注意が必要です。よく、「生の果物の代わりに、市販のジュースでもいいですか?」と聞かれますけれど、私はあまりお勧めしません。

野菜も果物もなるべくなら加工していないものが良いでしょう。ファイトケミカルの抗酸化作用によって、心筋梗塞などのリスクが減るのですから。あとは、じつはお酒も、地中海風食生活の重要な因子で、お酒が飲める健康な人は、少々飲んだほうが、むしろ長生きという結果が国内外の調査からわかってきています」

~PART.3につづく~

 

<プロフィール>

川田浩志先生
東海大学医学部血液内科准教授。医学博士。著書に『見た目が若いと長生きする』(筑摩書房)他
ブログ:http://ameblo.jp/antiagingworld/

Photo: Miho Urushido