古代中国医学の考え方「気血水」気とは 

春は、身体が活発に働きだす時期

皆さん、こんにちは。 美容鍼灸師の折橋梢恵です。4月に入り、新年度が始まりましたが、皆さんは、いかがお過ごしでしょうか? 桜の花びらは、すっかり散ってしまいましたが、所々に緑の葉が芽生え、暖かい季節の訪れを感じさせられる今日この頃です。

今の季節は中医学でも、「春」が当てはめられています。「春」の季節は、五行配当で「木」に該当しますので、木の性質とし植物が四方八方に伸びる様子が強く現れてくる時期だと考えることができます。今まで眠りについていた臓腑や身体の様々な機能も活発に働き出してきます。

中医学的な臓器の考え方としては、前回までに五臓六腑についてその役割などを一つずつお話してきました。今回からは、中医学の中で基本的な物質とされている気血水についてお話をしたいと思います。

「気」は、世の中の基本となる単位

最初のお話は「気」についてです。では皆さん、「気」とは、一体どんな 物質だと思いますか?

「気」とは、世の中の物質を構成する基本的な単位で、あらゆるものを自らの運動や変化によって生み出していると考え、私たち人間や動物、木や花などの植物も、この「気」が集まって構成されていると考えられています。簡単に言うと、私たちの体も「気」によって構成されているというわけです。

実際には「気」は、目に見える物質ではありませんが、中医学では、私たちの身体の状態を「気」という概念的なものとして捉え、気の不足や旺盛、またバランスなどを診て、この状態を整えることで治療を行います。

つまり、「気」とは、私たちの生命を維持するエネルギーや活動力といわれ、様々な働きを持っていると考えられているのです。

「気」という概念は、しばしば私たちの普段の生活の中でも自然に使われています。「雰囲気」とか、「元気」とか、「気分」とか、「気持ち」など気を含んだ言葉を使ったことはありませんか? このように、「気」は、私たちの生活に欠かせない身近なものであることがよく分かると思います。

中医学でこの「気」は、誰にでも備わっているもので、この気のバランスが崩れることが様々な不調の原因になると考えているのです。例えば、何をやるにもやる気が出ない、これは、中医学では、気虚といって気の不足と考えます。気は、食べた物から補われるため、消化器系の働きを高めることも、気を補う方法の一つといえます。

「気」の種類

また「気」には、いくつか種類があります。「元気」、「宗気」、「営気」、「衛(え)気(き)」の主に4種類です。
これらは、それぞれの働きや存在する部位や役割によって名称が付けられています。

「元気」、とは、読んで字のごとく私のたちの「元気」を意味し、生命活動の原動力を表します。次に「宗気」とは、発声や呼吸を整え、心の拍動を助ける働きがある気を指します。そして、「営気」とは、血脈内を血と共に循環して手足や臓腑など全身の各部位を栄養して、これらの働きを支える気といえます。最後に「衛気」とは、皮膚表面を保護し、外からの様々な刺激から身体を守る働きや汗腺の開閉を調節することで体温調節の役割などを担います。

このように「気」と一言にいっても、たくさんの役割があり奥深いものなのです。

皆さん、いかがでしたか? 気」という言葉は、私たちの生活にも馴染みがあり、日常的にも頻繁に使用される言葉ですが、意外にその働きについては明確には、説明されていません。このコラムを通じて少しでも多くの方々に中医学の考え方を知って頂けたら嬉しく思います。

次回は、「気血水」のうち、「血」についてお話をしていきたいと思います。