オーガニックでヘルシーエイジングライフPART.4~オーガニックという選択~

オーガニックとは、ギリシャ語のOrganから派生した言葉で、英語では「内臓」「器官」の意味です。 その形容詞のOrganicは、「生命体の」という意味から、現在の「有機の」「有機的な」という意味になりました。要するに今ではオーガニックと言えば、「農薬や化学肥料を使用しない、清らかで健全な水環境、多様な生物が住む豊かな生物環境、団粒構造で腐葉土の土壌環境が揃った自然環境で栽培すること」を指すようになりました。

近年野菜や果物の栄養価が低くなっているのはご存知でしょうか。例えば、ほうれん草は農薬や化学肥料を使用していなかった約60年前に比べると約半分の栄養しかありません。PART.3で、健康と美しさと幸せに欠かせない「ヘルシーな栄養価の高い生命力に満ちた食べ物は、自然農法や有機栽培された栄養を十分に蓄えた野菜や果物のこと」と述べましたが、これは農薬や化学肥料や農業環境の変化で農作物の栄養を左右する土が痩せてしまっていることが原因です。

オーガニック食品消費量が世界一のアメリカでは、以前オーガニック農産物は環境に優しいという利点はあっても、栄養価については非オーガニック農産物と比べてあまり変わらないと言われていました。しかしこれは、当時栄養学的及び科学的な調査方法が未熟であったための結果であって、抗酸化作用の効能、ポリフェノールやフラボノイドの含有量については調査をしていませんでした。 それから数年後、米国オーガニック機関オーガニックセンターと元農務省研究者チャールズ・ベンブルック博士の共同調査で、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、カリウム、リン、そして抗酸化作用のある栄養素ポリフェノールなどの含有量を236品目のオーガニック農産物において調べたところ、非オーガニックのそれらと比較して、実に61%が栄養上優れているという検査結果がでました。とは言っても、やはり畑で採れたばかりの新鮮野菜やもぎ立てのみずみずしい果物の栄養価に勝るものはありませんが。 このことから言っても、オーガニック農産物は栄養価が高く、環境に優しく、農薬や化学肥料を使用しないヘルシーな食べ物であることは明らかです。

 

私は都心の比較的緑が多い地域に住んでいますが、それでも排気ガスで汚れた空気、そのまま飲みたくない水道水、工事などの騒音、土のないアスファルトの生活、PCや携帯電話などの電磁波と、オーガニックの観点から言えば決して良い住環境とは言えません。
しかし、自然の多い農業地帯や海産物の採れる海も、今は決して安心できる場所ではなくなってきています。何故なら、農薬や化学肥料で微生物、昆虫、鳥、小動物は少なくなり、土や水が汚れ、海では工場排水などで有害化学物質による汚染度が高くなり、3.11から農産物も海産物も一部、放射能汚染されてしまいました。ここ2、3年の間、人々のオーガニックへの関心が高くなり、有機農産物の生産量が少し増えてきました。それでも全体の約1%と言いますから、どれだけ有機圃場(田畑)が少ないかがお分かり頂けると思います。有機圃場が少ないという事は環境汚染の地域が広いという事でもあります。

人間が農耕を始めるようになった1万5千年前から、今より約60年前までの農薬や化学肥料が無かった時代は、長きに渡って豊かな自然環境で農業を行い、自給自足が主流でした。農業がビジネスとして成り立つようになってから、私達は野菜や果物をスーパーや八百屋で購入するようになりました。これらの購入には農薬・化学肥料・殺虫剤のコスト、F1種(子孫が残せない種)の購入コスト、農機具のコスト、人件費、運送費などを支払うことになります。輸入農産物の場合は、ここに検疫コスト、防カビ・防虫のためのポストハーベストのコスト、燻蒸のコストなどが加わります。オーガニック野菜や果物を購入した場合、農薬・化学肥料・殺虫剤のコスト、F1種(子孫が残せない種)の購入コスト、ポストハーベストのコスト、燻蒸コストの代わりに、清らかで健全な水環境、多様な生物が住む豊かな生物環境、団粒構造の腐葉土の土壌環境が揃った自然環境保全、自然と調和するサスティナブルな社会の実現のためにコストを支払うことになります。

私達は常に物を選択し購入しています。栄養価とコスト、この二つの観点からみて皆様はどちらにお金を使いたいと思うでしょうか。 「オーガニックを選択する」という事はこういうことです。小さな島国日本にいても、これからは地球単位で物事を考える時代。 賢い選択をして日々生活をすることは心を豊かにする秘訣でもあると思います。