軍場大輝のメディカルアロマレッスン~レシピ3 「精油の品格」

精油とは簡単に説明すると、植物をぎゅっと凝縮した揮発性の芳香物質です。

例えば、みかんの皮を思い出して頂くとわかりやすいと思います!
みかんを食べる時に、みかんの皮から噴き出す汁が目に入って痛い目を見た経験はありませんか?

あの、皮から出る汁が精油です。

植物により、精油の抽出できる部位は違いますし、抽出量も違います。
みかんは比較的精油が大量にとれる植物ですが、あの汁を集めたと思えば、1mlでも結構な量と思いませんか\(◎o◎)/

考えてみれば、薬の歴史は柳の木の皮からです。
19世紀中頃に柳の木の皮に含まれている何千という成分の中から最も鎮痛作用が強い成分サリシンの分離に成功します。
そしてそれを化学的に合成する技術が進み、作られたのが世界で初めての医薬品であるアスピリン(アセチルサリチル酸)です。

植物から薬効成分を抽出し化学合成するのが医薬品なら、植物を濃縮した物質が精油。
精油が医薬品の様に薬効を発揮するのもうなずけるような気がします。

では、精油はどのように植物から抽出されるのでしょう?

 

多くの精油は『水蒸気蒸留法』といって、芳香植物を蒸留釜に入れ、水を沸騰させることで水蒸気をおこし、その水蒸気で植物の芳香成分を蒸気と一緒に取り出します。次に冷却管で冷やして液体に戻します。水と分離して精油を取り出します。

植物によって違いますが、ローズなどは1ℓの精油を抽出するのに3~4tの花びらが必要と言われています。
ローズは別格として、基本的には精油は植物が約100倍に濃縮されたものと考えて頂いてよろしいでしょう。

基本的には天然植物から抽出した精油がアロマテラピーに適しています。
しかし、メディカルアロマに適している精油かどうかは、もう一歩踏み込む必要があります。

精油は植物をぎゅっと濃縮した液体ですが、その時濃縮されるのは精油だけとは限りません!
植物に残っている残留農薬も濃縮される可能性があるのです\(◎o◎)/!
精油が約100倍に濃縮されるから単純計算で農薬も約100倍に!っとまでは言いませんが濃縮される可能性があります。

例えば、オーガニック原料を使ったオーガニック認定精油。
植物の残留農薬を確認するために検出限界値0.1ppmという単位で検査をしたとしましょう。
残留農薬値が0.1ppm以下で晴れて無農薬、オーガニック認定の原料となるわけです。

しかし!忘れていけないのは植物を濃縮した状態が精油である事!
仮に原料の植物の残留農薬値が0.05ppmとしたら、0.1ppm以下ですので植物としてはオーガニック認定です。
しかし、単純に精油になる時に残留農薬も約100倍に濃縮されたとしましょう!
0.05ppm×100ですと、なんと5ppmの残留農薬が検出される可能性があるのです!

メディカルアロマで使用する精油は、オーガニックの原料を使っている事はもちろんですが、精油になってから残留農薬をチェックして、その事がちゃんと商品にも記載されている事が望ましいと言えるかもしれませんね。

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